2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18750098
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 智代 名古屋大学, 大学院工学研究科, 講師 (80314045)
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Keywords | 多糖 / 配位子 / 光学分割 / キラル固定相 / 不斉合成 / 高速液体クロマトグラフィー / ビピリジル |
Research Abstract |
セルロースやアミロースの水酸基を化学修飾して得られるフェニルカルバメートおよびベンゾエート誘導体は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)用のキラル固定相として高い光学分割能を有し、その能力はフェニル基上に導入した様々な置換基の種類や数、位置など、その側鎖の構造に大きく依存することを、我々はこれまでに見いだしてきた。本研究では、強い配位能を持つビピリジル基を側鎖に有する新規セルロース誘導体の合成を行い、HPLC用のキラル固定相に用いて光学分割能の評価を行った。さらに、ビピリジル基に金属を配位させることによる光学分割能の変化と、配位結合を利用する配位子交換クロマトグラフィーへの応用について検討を行った。ビピリジル基を側鎖に有する誘導体は、セルロースと2,2'-ビピリジン-5-カルボン酸クロライドを反応させることで合成し、ビピリジル基を2,3,6位の側鎖全てに有する誘導体と、2,3位もしくは6位のみに有する誘導体の5種類が得られた。これらをシリカゲルに担持してHPLC用のキラル充填剤とし光学分割能の評価を行ったところ、2,3位または6位に位置選択的にビピリジル基を導入したセルロース誘導体が比較的高い光学分割能を示すことがわかった。また、セルロース誘導体にCu(II)を配位させたところ光学分割能に変化がみられ、配位前には分割できなかったtrans-スチルベンオキサイドが、配位後はほぼ完全に分割された。これはCu(II)が配位することでセルロース誘導体の高次構造が変化したためと考えられる。また、溶離液の組成を変え、配位結合を優先的に作用させることで、これまで困難であった多糖誘導体によるアミノ酸の直接光学分割が可能になった。分割できたアミノ酸はいずれも芳香環を有していたことから、セルロース誘導体とのπ-π相互作用も分割に大きく関わっていると考えられる。
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