2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18750112
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中野 幸司 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (70345099)
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Keywords | π共役系 / 自己組織化 / 液晶 / 半導体物性 / 光物性 / パラジウム触媒 / らせん構造 |
Research Abstract |
本研究は,種々の縮合多環芳香族化合物の効率的合成法を確立し,その手法によって合成できる化合物を高秩序に集積化して,高機能有機材料へ導くことを目的とする.特に芳香環が直線状に縮環した梯子状アセン骨格や芳香環がオルト位で縮環したらせん状ヘリセン骨格を含有する分子に着目する. 今年度および繰越期間では,まずアセン化合物の効率的合成法の開発を検討した.パラジウム触媒によるフェノール性水酸基の分子内ο-アリール化をもちいることで,フラン環二つを含むヘテロアセンを合成することに成功した.また,同じ出発原料から一段階で合成できる基質をもちいたパラジウム触媒によるアニリンのダブルN-アリール化によって,ピロール環二つを含むヘテロアセンを合成することもできた.さらに,これら二つの反応を組み合わせることで,フラン環とピロール環一つずつを含むヘテロアセンの合成にも初めて成功した.合成したヘテロアセン化合物への官能基導入も検討し,ハロゲン基,シリル基,アルキニル基,アリール基などが置換した化合物が合成可能であることを明らかにした.また,一部の化合物に関しては,それらをもちいた有機電界効果トランジスタを作成し,その半導体特性を確認した. また,これまでに合成に成功していたヘテロヘリセンの集積化についても検討した.特に,ピロール環一つを含むアザ[7]ヘリセンを中心に検討した.その結果,放射状に4つの長鎖アルコキシカルボニル基が置換した光学的に純粋なアザ[7]ヘリセンが,溶液中で会合体を形成していることを示唆する分光学的測定結果を得た. 19年度の残りの期間では,これまでの成果を利用して得られるヘテロアセン,ヘテロヘリセンの集積化とその機能評価について検討を進める.
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Research Products
(1 results)