2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18750118
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
小川 和也 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (50335486)
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Keywords | 二光子吸収 / ポルフィリン / 超分子 / アセチレン / 色素 / カップリング反応 |
Research Abstract |
本年度は従来の化合物を改良し、分子末端に電子吸引性のp一ニトロフェニル基の導入を行った。園頭カップリング反応により、エチニル亜鉛ポルフィリンとジブロモフリーベースポルフィリンを連結した。次にこの化合物とp-ニトロフェニルアセチレンを園頭カップリング反応によって連結し目的化合物を得た。Qバンドは724nmから776nmへと約50nmシフトし共役系の拡張が示された。 Open-aperture Z scan法(5ns)を用いてテトラクロロエタン中7の二光子吸収断面積を測定したところ900nm前後の波長領域で強い二光子吸収を示し、890nmにおいて120000GMを与えた。ニトロフェニル基を導入していない参照化合物(28000GM,890nm,5ns,トルエン中)に比べて約4倍の値を示した。またイミダゾリル亜鉛ポルフィリン二量体ユニット(190GM,780nm,5ns,クロロホルム中)より三桁も大きな値であることがわかった。p-ニトロフェニル基をアセチレンを介して導入することによって二光子吸収特性の増強に成功した。 また、二光子吸収色素の基本骨格として知られているフルオレンとポルフィリンとのカップリングを試みた。フルオレンの導入によって二つのポルフィリン間の電子的な相互作用を制御することに成功し、従来は一光子吸収の存在のため測定することができなかった740nmから800nmの波長領域に強い二光子吸収帯が存在することを発見した。 以上、当初の設計通り優れた二光子吸収特性を有する化合物の開発に成功した。
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