2006 Fiscal Year Annual Research Report
非破壊的に情報読み出し可能な単一分子光スイッチの開発
Project/Area Number |
18750119
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
深港 豪 九州大学, 大学院工学研究院, 助手 (80380583)
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Keywords | フォトクロミズム / 単一分子 / 蛍光スイッチ / 光誘起電子移動 / 非破壊読み出し |
Research Abstract |
単一分子レベルで非破壊的に情報読み出し可能な分子の開発を目指し、光誘起電子移動(Photoinduced Electron Transfer : PET)を利用した光スイッチング分子を設計・合成し、そのフォトクロミズムおよび蛍光スイッチング挙動を検討した。 目的とする機能を達成するために、酸化されたチオフェン環をアリール部位として有するジアリールエテン誘導体と、強い蛍光性を示すペリレンビスイミド誘導体をフェニルスペーサーで連結した分子を合成した。ジアリールエテンが分子ドナーとして働くこと、および、その開環体と閉環体の二つの異性体間で酸化還元電位が異なる性質に着目し、ジアリールエテンからペリレンビスイミドへの電子移動により蛍光のクエンチを行い、フォトクロミック反応により電子移動効率を制御する設計を試みた。 合成した蛍光性ジアリールエテン誘導体は、スルホン基を有するジアリールエテン誘導体を用いることで、分子内のエネルギー移動が完全に回避できていることが明らかとなった。また、極性溶媒中においてのみ光閉環反応に伴う蛍光クエンチが観測され、高い誘電率の溶媒ほど蛍光量子収率が減少し、その効果は閉環体においてより顕著に現れた。分子軌道計算および電気化学測定の結果から、開環体と閉環体の蛍光量子収率の差は、ジアリールエテン部位のドナー性の違い、すなわち電子移動効率の違いを反映していることが示された。 以上の結果から、単一分子レベルで非破壊的に情報読み出し可能な分子に向け、基本的な要求を満たす分子が開発でき、更なる高性能な分子の設計指針および合成手法等に関する知見が得られた。
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Research Products
(5 results)