2008 Fiscal Year Annual Research Report
非破壊的に情報読み出し可能な単一分子光スイッチの開発
Project/Area Number |
18750119
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
深港 豪 Hokkaido University, 電子科学研究所, 助教 (80380583)
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Keywords | フォトクロミズム / 光スイッチ / 蛍光 / 単一分子 / 非破壊読み出し |
Research Abstract |
昨年度の研究において開発した、酸化されたチオフェン環をアリール部位として有するS,S-ジオキシドジアリールエテン誘導体と強い蛍光性を示すペリレンビスイミド誘導体を結合した分子を用い、分子内電子移動を利用した非破壊蛍光読み出しの実証に取り組んだ。 まず、観測される蛍光スイッチング挙動が分子内電子移動によるものであることを明らかとするために、フェムト秒過渡吸収測定を行った。その結果、蛍光スイッチングが観測される高極性環境下にある閉環体状態においてのみ、ペリレンビスイミドのラジカルカチオンに帰属される特徴的な過渡吸収バンドが観測され、分子内電子移動による蛍光スイッチングであることが証明された。 非破壊蛍光読み出しの実証として、HPLCにより単離した開環体および閉環体それぞれにペリレンビスイミド色素のみが吸収を有する532nmのレーザー光を照射し、その蛍光応答を確認した。その結果、開環体および閉環体ともに蛍光強度の変化は全く観測されず、蛍光色素の光励起(読み出し)によりフォトクロミックユニットは全く影響を受けないことが確認された。さらにこの状態に、波長430nmの光を照射することにより蛍光OFF状態に、波長365nmの波長の光を照射することにより蛍光ON状態に可逆的に変化できることが確認された。以上の結果から、蛍光の読み出しとスイッチをそれぞれ独立の波長の光で行える理想的な蛍光スイッチング分子の開発に成功したといえる。 また、この蛍光スイッチングはポリマーなどの固体媒体中でも行えることが確認されたことから、究極的な単一分子レベルでの非破壊的な蛍光スイッチングの実現に向けた有力な分子のひとつになるものと期待される。
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Research Products
(13 results)