2008 Fiscal Year Annual Research Report
分子認識における新規結合サイト : シクロアリン、シクロマンニンとその誘導体創製
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18750120
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
福留 誠 Nagasaki University, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00336182)
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Keywords | シクロマンニン / マンノース / アルトロース / シクロデキストリン / 2, 3-エピチオアロース / 2, 3-ジデヒドロキシグルコース / 環状オリゴ糖 / 鎖状オリゴ糖 |
Research Abstract |
1. 研究概要 シクロデキストリン(以下CDと略)構成糖残基1つ〜全部を非グルコース糖残基に変換することにより、効率的に新規環状オリゴ糖を合成した。また、CD構成糖の一つを特定の糖残基に変換すると、変換された糖残基と隣接糖残基間のα-1, 4結合が紫外線照射により選択的に加溶媒分解されることを発見した。また、一連の非グルコース環状オリゴ糖合成法の探索過程において、隣接糖残基間のC2位同士を硫黄原子1つで架橋したユニークな環構造を持つ新規環状オリゴ糖の合成法を発見した。 2. 新規知見 2^A, 3^A-dideoxy-2^A, 3^A-epithio-2^B-O-(2-mesitylenesulfonyl)-β-CDから分子内タンデム反応を通して、CDの隣接糖残基のC2同士をS原子により架橋でき、歪んだ環構造のCD誘導体2^A, 2^B : 3^A, 6^A-dianhydro-2^A-deoxy-2^A-thio-β-CDを合成できることを発見した。この新規化合物は、CDの隣接糖残基のC2位同士を一原子で架橋した始めての例であり、ゲスト分子として包接したp-ニトロフェノールの空洞内での配向を制限していることもまたNMR実験により観察された。 光化学反応によるアジ化物からのナイトレン(-C-N)生成と続く加水分解によるケトン(-C=0)生成という既知反応を3^A-azido-mono-altro-β-CDに適用し、3^A-dehydro-β-CDを合成しようと試みた結果、予想されたCD誘導体ではなく既知の鎖状オリゴ糖maltohexaoseが主に生成することが明らかとなった。本反応は、光反応によりCDから糖残基をまるごと1つ脱離させることにより直鎖オリゴ糖を生じる初めての例である。 一連の非グルコース環状(及び鎖状)オリゴ糖の新規合成法は、オリゴ糖の合成研究において有用な知見になると期待される。
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