2006 Fiscal Year Annual Research Report
圧力・温度応答ポルフィリンナノワイヤの気水界面での分子認識
Project/Area Number |
18750129
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
道信 剛志 東京農工大学, 大学院共生科学技術研究院, 助手 (80421410)
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Keywords | 分子認識 / 共役高分子 / ポルフィリン / 気水界面 / 表面科学 |
Research Abstract |
親水性および疎水性側鎖を有するポルフィリン共役ポリマーを合成し、気水界面での単分子膜作製および水中ゲストの効率的な分子認識を達成することを目的とした。本年度は、ポリマー前駆体となるポルフィリンモノマーの合成およびモデル化合物単分子膜を用いた気水界面での超分子的ゲスト認識を試した。 ピロールを出発物質とし、ホルムアルデヒドと縮合してジピロメタンへ誘導、さらにベンズアルデヒド誘導体との反応によりポルフィリン環を合成した。側鎖として親水性基または疎水性基など望みの置換基を導入できるヒドロキシフェニル誘導体までを大量合成した。予備的にアルキン部位を導入し、確かに重合が進行することを確認した。 一方、気水界面での分子認識についても両親媒性のモデル化合物を用いて実施した。用いた化合物はサイクレン錯体をプラットフォームとし、周辺部に4つのコレステロール側鎖を有する。非共役サイクレン部位がポルフィリン環代替であり、コレステロールは安定な単分子膜形成を助ける。この分子の特徴は4つのコレステロールが右巻き、左巻き両方の配置を取ることができる超分子錯体であり、集合体形成することでコレステロール部位の不斉を反映したキラル分子認識が可能となる点である。π-A曲線は安定な単分子膜形成を示唆し、分子占有面積1.57nm^2はコレステロール4分子に相当した。水中にアミノ酸を溶解させるとπ-A曲線に変化が現れたため、Langmuir型の吸着式を用いて結合定数を算出した。気水界面の利点は、単分子膜を機械的に圧縮伸張して集合体挙動を変化させることが出来る点にある。今回用いたホスト単分子膜は、圧縮にともないゲスト(アミノ酸)認識能が上昇、コレステロール-アミノ酸の特異的相互作用の結果としてエナンチオ選択性がD体からL体へと変化した。本結果は、気水界面が溶液中とは異なる興味深い分子認識場となることを示している。
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