2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18750134
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
間瀬 暢之 静岡大学, 工学部, 助手 (40313936)
|
Keywords | グリーンケミストリー / アトムエコノミー |
Research Abstract |
温和な反応条件下、100%収率・化学・位置・立体選択性、副生成物・共生成物0%、有害・危険物質を使わない理想的かつ安全な不斉合成を目指した。これまで数々の環境調和型有機分子触媒が開発されているにもかかわらず、基質が過剰に必要であったり、触媒効率が低かったりすることが問題となっている。本研究では、天然アルドラーゼ酵素が「疎水性相互作用」、「水媒体中での反応」という特性を生かし、生体反応条件下(バルク水存在下)で不斉合成を行っていることに着目した。エナミン形成部位と疎水性部位を同一分子内に有する新たな有機分子触媒をデザイン・合成し、水媒体中での立体選択的不斉合成を検討したので報告する。プロリンを用いたシクロヘキサノンとp-ニトロベンズアルデヒドの水中アルドール反応は、プロリンが水に可溶であるため反応が進行しなかった。そこで長鎖アルキル基を持つジアミン触媒を用いたところ効率よく反応が進行し、高いジアステレオ・エナンチオ選択性を示した。また、本反応系では1当量のドナーを用いた場合でも効率的に反応が進行した。これはエナミン中間体が疎水性相互作用により高濃度に凝縮された有機相内でアクセプター分子と速やかに反応したためと考えている。続いてこのジアミン触媒を用いて、シクロヘキサノンとニトロオレフィンのマイケル反応を行った。興味深いことに、水の代わりに飽和食塩水を用いることでマイケル反応のみを進行させることが可能となり、収率93%、dr 95:5、89% eeで生成物を得た。さらに海水を用いて反応を行ったところ、十分な反応性、立体選択性を示した。本手法では、抽出・分離といった操作は必要なく、水相を取り出した後、再結晶を行うことでsyn体のみが得られる。また、アルドール反応、マイケル反応ともに触媒、溶媒の回収、再利用が可能であり、廃棄物をさらに軽減させた不斉合成を行うことができる。
|
-
[Journal Article] Organocatalytic Direct Asymmetric Aldol Reactions in Water2006
Author(s)
Mase, N., Nakai, Y., Ohara, N., Yoda, H., Takabe, K., Tanaka, F., Barbas, C.F., III
-
Journal Title
Journal of the American Chemical Society 128・3
Pages: 734-735
-
[Journal Article] Organocatalytic Direct Michael Reaction of Ketones and Aldehydes with β-Nitrostyrene in Brine2006
Author(s)
Mase, N., Watanabe, K., Yoda, H., Takabe, K., Tanaka, F., Barbas, C.F., III
-
Journal Title
Journal of the American Chemical Society 128・15
Pages: 4966-4967
-
-
[Journal Article] Lipase-catalyzed kinetic resolution of tetronic acid derivatives bearing a chiral quaternary carbon : Total synthesis of (S)-(-)-vertinolide2006
Author(s)
Tauchi, T., Sakuma, H., Ohno, T., Mase, N., Yoda, H., Takabe, K.
-
Journal Title
Tetrahedron : Asymmetry 17・15
Pages: 2195-2198