2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18750134
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
間瀬 暢之 Shizuoka University, 工学部, 准教授 (40313936)
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Keywords | 有機分子触媒 / 不斉合成 / グリーンケミストリー / 直接的アルドール反応 / 界面活性剤 / 水中有機合成 / アルドラーゼ / 環境調和型有機合成 |
Research Abstract |
18年度の研究成果より疎水性部位として長鎖アルキル基を導入したアルドラーゼ型有機分子触媒は水媒体中でも高収率、高立体選択的に不斉アルドール反応を進行させることが可能である。しかし、触媒量を10mol%から1mol%まで低減させると反応性が低下する。これはエナミン生成過程において水-分子が関与した平衡反応であることから、逆反応が進行したことにより反応性が低下したと考えられる。したがってより効果的な疎水性反応場を構築し、エナミン生成を促進できた場合反応性を改善できることが期待される。まず、従来よく利用されているイオン性界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウムや非イオン性界面活性剤であるTfiton X-100を用いたところ、反応性の改善は観測されなかった。一方、生体内の乳化剤である胆汁酸を添加したところ、収率が7-10%向上した。胆汁酸の構造に着目すると、疎水的なステロイド骨格と親水的なカルボン酸から構築されていることから、この構造をシンプル化した長鎖脂肪酸を添加剤として検討した。まず、比較のために酢酸やブタン酸などの低級カルボン酸を検討したが、反応性は向上しなかった。一方、炭素数が増えるにつれて反応性は向上し、特にステアリン酸やエルカ酸を添加したとき、添加しない場合より27-28%収率が改善された。同様な炭素数を有するデカンやエイコサンを添加しても、同等の反応性向上が観測されないことからカルボン酸の関与が考えられる。本実験条件で確認することはできなかったが、DMSO中におけるイソブチルアルデヒドのピロリジンとのエナミン生成において、酢酸の添加によりエナミン生成が著しく促進されることが明らかになっている。おそらく本研究においても、長鎖カルボン酸が長鎖アルキル基により反応場を形成し、カルボン酸部位によりエナミン生成を活性化し、二つの役割を同時に満たしていると考えられる。
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