2008 Fiscal Year Annual Research Report
ラジカル重合反応を用いるたんぱく質β-シートの高機能化
Project/Area Number |
18750152
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森 健 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 助教 (70335785)
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Keywords | ヒステリシス / ラジカル重合 / 水素結合 / らせん高分子 |
Research Abstract |
温度応答性高分子として知られるポリ(N-n-propylacrylamide)について、立体規則性の効果を調べた。合成は、水素結合性アルコールを重合系に加えることで、ラジカル重合により行うことが出来た。最高で72%のrを持つポリマーが得られた。得られたポリマーの相転移を調べたところ、シンジオタクチシチーの増加に伴い、転移幅が狭くなり、相転移の協同性が高まることを明らかとした。示唆操作熱量分析による脱水和に伴う吸熱ピークの解析、および、アミノドのIR吸収の脱水和に伴うシフトから、上記の事実を示した。この現象の駆動力としては、脱水和に伴うらせん状構造の形成であることが分子構造のシミュレーションにより示唆された。また、脱水和後のアミドの吸収を水和成分と分子内水素結合成分に分離したところ、シンジオタクチシチーの向上に伴い、分子内水素結合成分が上昇した。この事実は、脱水和に伴う高次構造の形成に矛盾しない。このような脱水和にともなう高次構造の形成は、タンパク質の低温変性のモデルということができる。これまで温度応答性高分子のコイルーグロビュール転移は低温変性のモデルとみなされてきたが、タンパク質と合成高分子の違いは、前者がグロビュール状態で明確な高次構造を形成するのに対して、後者はランダムな構造しかとりえないことにあった。したがって、今回の発見はタンパク質の変性-フォールド転移のモデルとなるはじめての例である。
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Research Products
(2 results)