2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18750157
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
宮武 智弘 龍谷大学, 理工学部講師, 講師 (10330028)
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Keywords | 光合成 / アンテナ / クロロフィル / 生体膜 / リポソーム / 超分子 / エネルギー移動 / 自己組織化 |
Research Abstract |
光合成生物の光捕集アンテナ系には多くのクロロフィル分子が含まれており、チラコイド膜と呼ばれる脂質分子膜内に存在する。このような生体膜を利用した光合成系を再現するため、本研究ではリボソームの脂質二分子膜内にクロロフィル誘導体を導入した人工光捕集アンテナの構築を目指した。まず、クロロフィルa分子から側鎖にアルキル鎖やオキシエチレン鎖を持つクロロフィル誘導体を合成した。つぎに、クロロフィル誘導体分子とジパルミトイルポスファチジルコリン(DPPC)との混合物からエクストルージョン法によりリボソームを作成した。このとき、水溶性の蛍光色素をリボソーム内に保持できたことから内水相を持つ小包体であることが確認できた。可視吸収スペクトルの結果から疎水性のクロロフィル誘導体は脂質二分子膜内に挿入されていることがわかった。さらに、脂質二分子膜内に挿入されるクロロフィル誘導体の量は側鎖の置換基によって変化することを見出し、長いオキシエチレン鎖をもつクロロフィル誘導体より多く二分子膜内に挿入されることがわかった。加えて、リボソームに導入したクロロフィル誘導体分子の間で励起エネルギー移動も確認できた。 一方、緑色光合成細菌の膜外アンテナであるクロロゾームでは、クロロフィル分子が自己会合体を形成して光捕集の役割を果たしている。そこで本研究では、リボソームの二分子膜内でクロロフィル誘導体を自己会合させたクロロゾーム型の人工アンテナ系の構築を目指した。3位にヒドロキメチル基をもつ亜鉛クロロフィル誘導体の存在下でリボソームを作成するとクロロフィル誘導体の単量体の吸収(650nm)と比較して長波長シフトした吸収帯(743nm)を示し、脂質分子膜内で、クロロゾーム型のクロロフィル会合体を調製することに成功した。
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Research Products
(3 results)