2006 Fiscal Year Annual Research Report
疎水性アルキル基によるメッセンジャーRNAの高精度識別に関する研究
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18750160
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Research Institution | Fukuoka Industrial Technology Center |
Principal Investigator |
木村 太郎 福岡県工業技術センター, 生物食品研究所, 研究員 (40416491)
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Keywords | メッセンジャーRNA / RNA / 分離 / ポリAテイル / 抽出 / 疎水性相互作用 / トータルRNA / 固相抽出カラム |
Research Abstract |
生体内にはメッセンジャーRNA(mRNA)と呼ばれる一群のRNAが存在する。申請者らは、このmRNAが特定の条件下で疎水的なアルキル基と選択的に相互作用する現象を発見した。今年度は、mRNAが疎水性シリカ粒子(ODS担体)へ選択的に吸着するメカニズムについて以下のモデル実験により解明した。 1.均一組成RNAの吸着実験:ポリAやポリCといった均一組成のRNAをモデルRNAとしてODS担体への吸着実験を行った。その結果、ポリA及びポリGはジメチルスルホキシド(DMSO)40%以下で定量的に吸着するのに対し、ポリCはDMSO10%以上でODS担体に吸着しないことが明らかとなった。この吸着挙動の違いはRNA塩基の環構造の違いにより説明出来る。シチジル基がピリミジン環構造であるのに対し、アデニル基及びグアニル基はより疎水平面の大きなプリン環構造である。従って、ポリAやポリGは比較的疎水性が強く、ODS担体に親和性が高いと考えられる。 2.mRNA、リボソーマルRNA(rRNA)単独の吸着実験:mRNA、rRNAを酵母から抽出し、ODS担体への吸着実験を行った。その結果、mRNA、rRNAはそれぞれDMSO40%以下及び30%以下で定量的に吸着した。この吸着力の違いはmRNAが有するポリAテイル構造に由来すると考えられる。先の実験でポリAはODS担体と親和性が高いことが明らかとなっており、ポリAテイル部分がODS担体と相互作用することで選択的な吸着が行われていると結論づけられた。 3.結論:疎水性アルキル基への選択的な吸着に、mRNAのポリAテイル領域が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。本来、RNAの構成塩基比率はmRNA、rRNAの間でそれほど差異はないと思われる。しかしながら、ポリAテイル領域が疎水的なドメインを形成することで高い選択性が発生すると考えられる。
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