2006 Fiscal Year Annual Research Report
振動分光法を用いたn型有機電界効果トランジスタに対する大気の影響の解明
Project/Area Number |
18750170
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
細井 宜伸 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (50386645)
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Keywords | 有機半導体デバイス / 表面・界面 |
Research Abstract |
ペリレンテトラカルボキシルジイミド(PTCDI)誘導体は高い電子移動度を示すことが報告され,n型OFETの実用化を実現できる材料として特に期待されている.我々はこのPTCDI骨格に様々な置換基を導入してその性能向上を試みた.またn型OFETのほとんどが大気中での牲能悪化が観測されており,大気安定性を持つ材料の開発が急務である.そこで我々はN置換基に電気陰性度の大きなフッ素を持つ官能基を導入して,性能向上と合わせて大気安定性の獲得を検討した. 今回,十種類のPTCDI誘導体を合成し,それらを用いてAuトップ電極のOFETを作製した.そのうち,N置換基としてベンジル基を持つ誘導体が電子移動度0.1cm2/Vs程度の非常に良好な特性を示すことがわかった。そこで高い移動度が発現した原因を調べるために,移動度を支配する絶縁膜近傍10nm程度の薄い領域における薄膜構造を原子間力顕微鏡及び赤外分光によって調べた. その結果,高い移動度が発現した誘導体の薄膜では,平坦な層状構造が出現し,その中では分子のパイ電子共役平面が基板に垂直に配向していることがわかった.グレイン境界が少ない薄膜を形成し,広がったパイ電子スタッキングカラムを電子がスムーズに移動することで高移動度につながったと考えられる. またベンジル基を持つ誘導体にさらにフッ素を導入してやると,高電子移動度でかつ大気安定なトランジスタを作製できることがわかった.これはフッ素の電子吸引性に由来するものである.このトランジスタを用いて実際にトランジスタ動作中のキャリアの挙動と大気導入による変化を赤外分光で観測した.
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Research Products
(1 results)