2007 Fiscal Year Annual Research Report
振動分光法を用いたn型有機電界効果トランジスタに対する大気の影響の解明
Project/Area Number |
18750170
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
細井 宜伸 Waseda University, 理工学術院, 講師 (50386645)
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Keywords | 有機半導体デバイス / 表面・界面 / 薄膜 / 赤外分光 |
Research Abstract |
有機分子及び高分子薄膜を用いた電界効果トランジスタ(Organic field-effect transistor; OFET)はその軽さ,柔軟性の面から現在,盛んに研究されている.本研究では,高性能n型OFET材料として近年注目されているペリレンテトラカルボキシルイミド(PTCDI)誘導体に様々なN置換基を導入したものを合成し,トップコンタクト型OFETを作製,そしてその性能や大気中での安定動作について評価した.これらの結果に基づき,分子構造や薄膜構造とデバイス特性との相関を議論した. N置換基を置換した10ケのPTCDI誘導体を合成し,その電子移動度を比較したところ,置換基によって移動度が大きく変化することがわかった.既報のアルキル鎖で置換したものが最も移動度が大きく,最大0.49 cm2V-1s-1の電子移動度を示した.また幾つかの誘導体は大気安定なOFET動作を示し,これはN置換基に電子吸引性の大きなフッ素原子を含むものを用いることで,電子親和力が大きくなったためと考えられる.この中でパラフルオロベンジル基で置換したPTCDI誘導体は0.1 cm2V-1s-1を超える大きな移動度を示し,かつ大気中でも安定に動作するため,応用面で非常に有用な材料であると考えられる. これらの移動度の違いを調べるために,キャリアの蓄積,伝導が起きる絶縁膜との界面近傍のPTCDI誘導体薄膜構造の解析を赤外分光を用いて行った.大きな移動度を示す誘導体はPTCDI骨格の分子長軸が基板に対して垂直に配向しており,移動度の小さなものはランダム配向をとることがわかった.また原子間力顕微鏡(AFM)で薄膜のモフォロジーを調べると,移動度の大きな誘導体は平坦で均一な層を形成することがわかった.誘導体薄膜絶縁膜界面近傍の薄膜構造がトランジスタ特性に大きな影響を与えていることは明らかである.
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Research Products
(2 results)