2006 Fiscal Year Annual Research Report
色素増感太陽電池の光電変換特性とスピンダイナミクスの相関
Project/Area Number |
18750172
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
古川 貢 分子科学研究所, 物質分子科学研究領域, 助教 (90342633)
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Keywords | 色素増感太陽電池 / スピンダイナミクス / 電子スピン共鳴 |
Research Abstract |
本研究は色素増感太陽電池(DSSC)の光電変換機能を,スピンをプローブとして電子伝達メカニズムを時間分解ESRにより理解することが目的である.したがって,光照射時からのスピンの時間分解測定する必要がある.そこで,本年度は,時間分解ESR(TR-ESR)システムの構築から始めた.必要なシステムは(1)TR-ESR,(2)高効率な光照射,(3)高精度角度変化の3点である.まず,(1)に関しては,パルスNe-YAGレーザーとパルスマイクロ波(MW)を完全に同期させてスピンの時間発展を検出する必要がある.パルスジェネレータ(DG535)をはさむことで完全に同期させることができた.また(2)と(3)を兼ね備えるために,光ファイバーを回転軸とした高精度ゴニオメータを作成した.上記システムは,X-bandのみならず,W-bandへの転用も可能であり多周波時間分解ESRシステムを構築することができた. DSSCは本来ならば,ITOコートされたガラス基板上に作成される.しかしながら本研究でははESR測定することが主眼になる.ガラス基板ではガラス中の金属によるESRシグナルが見えてしまう可能性がある.そこでITOコートされたPETフィルムを使用した.ガラスの場合と比較してTiO_2ナノ粒子を焼結する温度を低くし,焼結時間を短くすることにより代用した.色素は,パルスNe-YAGレーザーの2倍波を使用するので,532nm付近に吸収がありなるべく効率の良いものを選ぶ必要がある.そこで,525nm付近に大きな吸収を持つエオシンYを使用することにした. 今後,本年度作成したTR-ESRシステムを使用し,DSSCのそれぞれのdark,光照射時のTR-ESRスペクトルを測定し,電子物性解明へと繋げていく予定である.
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