2007 Fiscal Year Annual Research Report
水溶性チタン錯体の化学設計と広角的水熱プロセスによるチタン系酸化物の相・形態制御
Project/Area Number |
18750177
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
冨田 恒之 Tokai University, 理学部, 助教 (00419235)
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Keywords | 水溶性チタン錯体 / チタン系酸化物材料 / 水熱プロセス / ナノ粒子 / 形態制御 / 光触媒 / 酸化チタン / 多形 |
Research Abstract |
平成19年度は4つの実施計画を立てて研究を行った。以下にそれぞれの研究結果の概略を示す。 1 酸化チタン超微粒子の利用 酒石酸チタン錯体を原料として過酸化水素水を大量添加した状態で水熱処理することでルチル型酸化チタンのナノ粒子(平均粒径10nm以下)を合成できることを見出した。これによりアナターゼ型とほぼ同じ粒径でルチル型酸化チタンを作ることができた。この両者の光触媒活性を比較したところ、アナターゼ型が有意に勝っていたことから、比表面積の影響を除いた上で結晶構造が光触媒活性に与える影響を明確にした。 2 ブルカイト型およびB型酸化チタンの用途開発 ブルカイト型に加え、B型酸化チタンを他の研究報告に比べてより高い結晶性で合成することに成功した。また、合成後の再水熱処理によって結晶性をさらに向上できることを見出した。これらの光触媒活性はいずれも高く、条件によってはアナターゼ型を凌ぐほどであった。なお蛍光特性については賦活剤となるユーロピウムを添加することができなかったため、発光は見られなかった。 3 新規水溶性チタン錯体の作製と構造解析 サリチル酸、りんご酸、酒石酸チタン錯体について単結晶を育成し結晶構造解析することでそれぞれの錯体の構造決定を狙ったが、いずれにおいても単結晶を育成することができず構造決定には至らなかった。 4 水溶性チタン錯体の新規作製手法 四塩化チタンや硫酸チタンを原料に用いて、従来の金属チタン粉末を用いた場合とほぼ同等の結果を示すことに成功した。工業的により有利な原料となるため、本研究が産業に結びつく可能性をより強くしたと考えられる。
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