2006 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化膜の3次元集積化による機能性ナノ構造体の創製
Project/Area Number |
18750181
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西 正之 京都大学, 工学研究科, 助手 (50402962)
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Keywords | ナノ材料 / 自己組織化 / 表面・界面物性 / ゾル-ゲル法 / 構造・機能材料 |
Research Abstract |
本研究は、液相中や固液界面で分子間に自然に働く化学的・物理的相互作用を利用してボトムアップ方式により、新規な光学的、電気的、磁気的機能デバイスの構築を可能にする"ナノ構造をもつ"材料の創製と、その手法の確立を目指している。この目的を達成するために本研究が柱としたのは、1)チオール系分子と特定の金属やそのイオンとの選択的結合性、および2)アルコキシシラン系分子の加水分解・重縮合による高分子化という2点である。そこでチオール基をもつアルコキシシランであるMPTMS(3-Mercaptopropyltrimethoxysilane)分子を主に使用した。チオール基は、ジスルフィド化やスルホン化による還元性も有することから、18年度はAuイオンやAgイオンに対してMPTMS分子を反応させることでナノ構造体の合成を試みた。その結果、Auイオンを用いた場合は、厚さ約50〜100ナノメートル、大きさ数マイクロから数十マイクロメートルの三角形や六角形の平板状(膜状)の金の単結晶が得られ、形状制御の新たな手法となることが示唆された。一方、Agイオンを用いた場合は、MPTMS分子程度の周期性をもつ、銀とMPTMS分子がナノレベルで複合化したと考えられる複合物質が得られた。この生成物の形状は、出発組成を変えることにより、線状のものが折り重なってできたような球状や、そこから繊維状のものが生えたような形状などへと変化した。得られた複合物質の形状は、無機系の材料を出発物質として用いながら有機的なものであり、その形成機構の解明は今後のナノ材料合成法の新たな指針となると期待される。さらにAgイオンに対して他のチオール系分子を作用させることによりワイヤー状やベルト状の複合物質の合成にも成功した。
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