2006 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界二酸化炭素プロセッシングを利用した高性能高分子固体イオニクス複合型新材料
Project/Area Number |
18750186
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
富永 洋一 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助手 (30323786)
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Keywords | 超臨界二酸化炭素 / 高分子固体イオニクス / イオン伝導度 / ポリエーテル / 高分子複合材料 / メソポーラスシリカ / ルイス酸-塩基相互作用 / リチウム電池 |
Research Abstract |
本研究では、固体状態で解離イオンを効果的に生成し速く輸送できるポリエーテル系電解質材料を超臨界二酸化炭素(scCO_2)を溶媒とした反応プロセス中で作製し、室温で10^<-4>S/cm以上の高いイオン伝導度を与える系の設計指針を提案することを目的としている。本年度は、scCO_2処理に伴う結晶性ポリエチレンオキシド(PEO)や非晶性ポリオリゴオキシエチレンメタクリレート(PMEO)系モデル高分子電解質のイオン伝導度の大幅な増大に関わる因子を解明するため、高圧CO_2中におけるポリエーテル系固体電解質のイオン伝導挙動を直接測定することを試みた。独自のin-situインピーダンス測定用圧力容器を用い、PEO及びPMEO系電解質の高圧イオン伝導度測定を検討した結果、N_2雰囲気下における挙動とは大きく異なり、CO_2中では圧力の上昇に伴うイオン伝導度の著しい増加が見られた。PMEO系電解質のCO_2圧力に伴うイオン伝導度の変化はCO_2溶解量と相関があり、この挙動は塩種(アニオン構造)により大きく異なることも明らかとなった。これまでの報告からは、CO_2とフッ素原子間に存在する相互作用がアニオンのCO_2に対する溶解性を向上させることも分かっており、今回新たにビストリフルオロメタンスルホニルイミド(TFSI)塩がCO_2中におけるイオン伝導度の改善には適した電解質であることも解明された。更に、高圧CO_2中におけるPMEO系電解質の赤外分光測定を行った結果、CO_2分子の吸着に伴うPMEO主鎖(C=0)とCO_2問のルイス酸・塩基相互作用やエーテル側鎖(O-H)の緩和が初めて解析され、高圧CO_2中におけるイオン伝導度の増加が裏付けられた。今後は、イオン伝導度の改善が更に期待されるメソポーラスシリカを充填した高分子複合体についても検討していく予定である。
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