2006 Fiscal Year Annual Research Report
弾性高分子表面の自己組織化微小しわパターンの外場への応答
Project/Area Number |
18750195
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大園 拓哉 独立行政法人理化学研究所, 散逸階層構造研究チーム, 研究員 (40344030)
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Keywords | 自己組織化 / 微小機械 / 表面 / 微細構造加工 / 皺構造 |
Research Abstract |
FIBやEBなどのナノリソ技術を用いて微小な皺構造の自己組織化をアシストすることで、欠陥のない皺構造(微小凹凸構造)を誘起させ、さらに空間波長と皺方向の制御を行なった。 シリコンウエハにナノパターンを作製し、それをPDMSゴムにインプリントして、パターン化したPDMS表面を得る。その上に様々な材料で硬い層を形成させる:1)Ptを蒸着、2)エポキシナノ薄膜を別に作っておき、載せる、3)有機無機ハイブリッド膜を別に作っておき、載せる、という3種類の表面を作製した。その後に1軸の圧縮をかけることで人工トリガーパターンに依存した様々な規則的な皺が自己組織化した。 皺の特性波長λ_0は、膜厚と材料の固有の硬さにより変わるが、1μm程度になるように設定した。人工トリガーパターンはライン状の突起で、その周期dを変化させて、発生する皺を観察した。すると、R=d/λ_0の値によって、実際に現れる波長λが共鳴的にdに引き込まれる、つまり、Rが整数でなくても波長λはλ_0をとることができずにnd(nは整数)に引き込まれることが分かった。このことは、トリガーパターンで指定したdによって空間波長の制御が簡単に行なえることを示す。また、数値計算によってもその共鳴的な引き込みが再現され、エネルギーの議論をおこなった。 つまり、ナノリソの助けを借りることで、欠陥のない皺構造を誘起させ、さらに空間波長と皺方向の制御を行なった。この技術によって、NEMS, MEMSなどのメカニカルデバイスや薄膜デバイスの応用のための複雑な形状の皺を作製することが可能になる。さらにこの結果は自己組織化による自発的な長さスケールを人工的なパターンで制御するという一般的な問題についての代表的な一例となり、広範囲へのインパクトが期待できる。
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