2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18750196
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
吉川 佳広 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 界面ナノアーキテクトニクス研究センター, 研究員 (30373294)
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Keywords | 高分子構造物性 / 自己組織化 / 表面・界面物性 / 酵素反応 / 走査プローブ顕微鏡 |
Research Abstract |
ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)は,微生物がエネルギー貯蔵物質として体内に蓄積する生分解性・生体適合性を有するバイオポリエステルである。PHAは,その重合酵素に基質モノマーであるPHA-CoAを作用させることにより,インビトロ重合される。本研究では,インビトロ重合により形成される酵素-PHA複合体を基板上で自己組織的に配列することを目的としている。本年度は,高配向グラファイト(HOPG)上で,PHA重合酵素とPHA-CoAとを直接作用させることにより,酵素-PHA複合体による成膜を試みた。形成された薄膜の形状は,原子間力顕微鏡(AFM)で観察した。PHA重合酵素と基質であるPHA-CoAの割合を変化させることにより,繊維状物質の集合体から膜状構造まで,様々な形態に変化することがわかった。膜状構造の厚さは約1nmであった。また,AFMの位相変化から,酵素はポリエステルにと共に薄膜内に存在しており,酵素-ポリエステルの複合膜を作製することができた。さらに,酵素-ポリエステルの複合膜の形成を実証するために,タンパク質分解酵素として知られるプロティナーゼKを作用させると,酵素と思われる粒子状の形状が分解されて消失した。また,PHAを分解することのできるPHA分解酵素を作用させると,膜状構造部分が侵食されて,構造変化が認められた。以上の結果から,インビトロ重合により形成される酵素-PHA複合体を基板上で作製することに成功したといえる。ただし,この複合膜中での分子配向については解析に至らなかった。
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Research Products
(1 results)