2006 Fiscal Year Annual Research Report
スピン量子十字構造を用いた超高密度メモリの作製とその評価
Project/Area Number |
18760001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
海住 英生 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (70396323)
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Keywords | 高密度メモリ / 真空蒸着法 / 金属薄膜 / 磁性薄膜 / 金属ナノエッジ / 有機膜 / 表面状態 / 電気伝導特性 |
Research Abstract |
高度情報化社会に伴い,高密度情報を記録・再生できるメモリの開発が要求されている.現在までにリソグラフィー技術の発展により30nm線幅のメモリが作製可能となった.これは28Gbit/cm^2に相当する.しかしながら,これを超える高密度メモリを作製するためには,リソグラフィー技術に替わる新たな作製方法が必要となる.そこで本研究では新たな超高密度メモリ作製方法を提案し,その単位構造であるスピン量子十字構造を作製することを目的とする. 金薄膜(膜厚:5-20nm)/ポリエチレンナフタレート(=PEN)有機膜(膜厚:100μm)から構成される量子十字構造の作製には巻取式真空蒸着装置を用いた.膜厚測定にはレーザー透過光強度測定法を用いた.エッジ面の平坦加工には研磨装置FACT-200を用い,金薄膜の表面観察には原子間力顕微鏡NanoscopeIIIaを用いた.その結果,0.44nm/minのリニアーな金薄膜蒸着レートを得ることができ,5,10,15,20nmの膜厚制御が可能となった.1.5-1.9nmの表面粗さを得ることができ,極めて平坦な膜の作製に成功した.また,PEN有機膜上では金原子が島状成長し,そのグレイン径は30-60nm程度となることがわかった.これらの知見を基に平成19年度はスピン量子十字構造の創成に努める. 理論計算では量子十字構造の電流電圧特性を明らかにした.金属エッジと金属エッジが互いに対向した構造において,自由電子モデルとWKB近似を適用し計算した.金属エッジ幅は5-30nmとした.その結果,金属エッジ幅が薄くなるに従い電流密度が小さくなることがわかった.これは従来の金属面と金属面が対向した構造には見られない新しい現象であり,上部電極と下部電極の面直方向の量子化に起因する.本計算結果は高密度メモリの実現可能性を示すものであり,スピン量子十字構造の創成に大きな寄与を示す.
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