2006 Fiscal Year Annual Research Report
スピンホール効果の電気的検出とスピン流による磁性体磁化反転への応用
Project/Area Number |
18760003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
好田 誠 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00420000)
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Keywords | 電気的スピン注入 / (Ga, Mn)As / 強磁性体リング / Vortex構造 / Onion構造 |
Research Abstract |
縦型スピンホール効果検出構造におけるスピン輸送中のスピン緩和を調べるため、縦型電気的スピン注入素子を設計し強磁性金属FePtからMgOバリアを介したGaAs/AlGaAs量子井戸への電気的電子スピン注入を行った。その結果、発光層まで100nmのスピン輸送層が存在する発光ダイオード構造においてゼロ磁場(T=4.2K)で1%の偏光率を得たことから、半導体中を100nmの間スピンを保持し輸送可能であることを明らかにした。これより、縦型スピンホール効果検出構造におけるスピン輸送層膜厚の条件を得たことになる。またスピン流による効率的な微小磁性体磁化反転を実現するため、微小サイズ(1.0μm×5.0μm)の強磁性半導体(Ga, Mn)Asを作製し磁化反転機構をプレーナーホール効果及び異方性磁気抵抗効果を用いて調べた。従来(Ga, Mn)Asは、[100]及び[010]方向の立方結晶磁気異方性と[110]方向の一軸異方性が支配的となり90°磁壁を介した磁化反転機構を取ることが知られていたが、それに付け加え本年度の研究において形状磁気異方性を付加できる可能性を見出した。また強磁性金属における磁化反転機構及びその形状効果を調べるため、強磁性金属Feをサブミクロンサイズのリング配列構造に加工し磁化反転機構を評価した。その結果、高磁場印加状態ではOnion構造が磁化安定状態となり、ゼロ磁場では漏洩磁場が最小限となるVortex構造を安定状態にとることを明らかにした。これはマイクロマグネティックシミュレーションの結果とも良く一致することから、スピン流による微小強磁性体磁化反転に向けシミュレーションによっても構造最適化できる可能性を見出した。さらに実験的に、隣り合うリング間隔を系統的に変化させることで隣接強磁性体間の相互作用を調べ、リング外径と同程度の距離まで近づくと急激に相互作用が強くなることを見出した。これよりスピン注入用強磁性電極に適した形状に目処がつき、また強磁性電極からの漏洩磁場により半導体ヘスピン注入されたスピン偏極電子のスピン緩和が生じる距離が明らかとなった。
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Research Products
(6 results)