2007 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツ波ポンププローブ分光法の開発と光誘起相転移への応用
Project/Area Number |
18760007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中嶋 誠 The University of Tokyo, 物性研究所, 助教 (40361662)
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Keywords | テラヘルツ電磁波 / 光誘起相転移 / フェムト秒パルスレーザー / 金属絶縁体転移 |
Research Abstract |
昨年に引き続き、高速ADコンバータとラピッドスキャンシステムを組み合わせたテラヘルツ波ポンププローブ分光システムの改良に努めると共に実際に光誘起絶縁体金属転移のテラヘルツ波ポンププローブ分光測定を行った。二酸化バナジウムは,以前パウダーと単結晶において測定を行ったが、これらの試料はレーザー照射によりクラックが入ることが多く、安定した測定が困難であった。そこでサファイア基板上に作製した二酸化バナジウム薄膜で測定を行った。これにより安定した測定が可能になり、またレーザー照射による熱の蓄積も見られなくなった。励起波長は800nmで、室温にて、光励起テラヘルツ波検出の過渡吸収測定を行った。励起直後に急峻に透過率が減少し、その後100ps程度までしだいに透過率が減少するという2段的な透過率の減少が観測された。また励起強度を上げるにつれて、変化量が大きくなる閾値的な振る舞いも観測された。これらの結果については、Applied Physics Lettersで報告した。また励起強度を上げるにつれて、緩和時間が遅くなる現象も見いだされている。今回観測された振る舞いは、電気伝導度の増加(金属相の出現)を反映したものであるが、X線散乱や電子散乱での時間分解測定の結果(A. Cavalleri, et. al.やP.Baum, et. al.)と非常に似ており、電気伝導度の変化と格子構造の変化が同じ時間スケールで変化することを示しており興味深い。擬一次元臭素架橋ニッケル錯体では、光照射後瞬時にテラヘルツ帯の透過率が減少し、その後数ピコ秒で緩和する。また緩和時間が数100ps以上の遅い緩和成分があることも観測されている。またテラヘルツ帯のスペクトル情報より励起直後は金属状態に変化している(基底状態は絶縁体)ことが分かった。
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Research Products
(18 results)
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[Presentation] 時間分解光電子分光によるBi2212の研究2008
Author(s)
田中正志, 富樫格, 石田行章, 山本和矢, 谷内敏之, 下山田篤志, 石坂香子, 木須孝幸, 中嶋誠, 末元徹, 茂筑高士, 中根茂行, 平田和人, 辛埴
Organizer
日本物理学会
Place of Presentation
近畿大学
Year and Date
2008-03-24
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[Presentation] グラファイトの時間分解光電子分光2008
Author(s)
石田行章, 富樫格, 山本和, 田中正志, 谷内敏之, 下山田篤史, 石坂香子, 木須孝幸, 中嶋誠, 末元徹, 辛埴
Organizer
日本物理学会
Place of Presentation
近畿大学
Year and Date
2008-03-23
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[Presentation] レーザー高調波を用いた時間分解光電子分光による光誘起相転移の研究52007
Author(s)
富樫格, 山本和矢, 石田行章, 田中正志, 下山田篤, 木須孝幸, 石坂香子, 高田泰孝, Ashish Chainani, 辛埴, 中嶋誠, 末元徹
Organizer
日本物理学会
Place of Presentation
北海道大学
Year and Date
2007-09-22
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