2006 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性体からSiへのスピン注入とスピン蓄積効果に関する研究
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18760010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中根 了昌 東京大学, 大学院工学系研究科・TST派遣研究員 (50422332)
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Keywords | スピンエレクトロニクス / 次世代高機能デバイス / 新規磁性材料作製法 |
Research Abstract |
近年、半導体スピンエレクトロニクスと呼ばれる従来の半導体エレクトロニクスにおいて無視されてきたキャリアスピンを積極的に利用した新しいエレクトロニクス体系の研究が活発化してきている。特に、スピン電界効果型トランジスタ(スピンMOSFET)はスピン偏極電流による機能(スピン依存伝達特性)のみならず、高い電流駆動能力や低消費電力などといった本来の集積能動デバイスとしての機能を併せ持つため、半導体スピンエレクトロニクスにおいて重要なスピンデバイスとなり得る。スピンMOSFETは従来のMOS構造を基本構造に持つが、そのソース、ドレインは強磁性体によって構成される。このデバイスのスピン依存伝達特性を最大限に発現させこれを利用するためには、強磁性ソースからシリコンチャネルへの高効率のスピン注入とSi中でのスピンの振る舞いに関する知見が必要がある。 この高効率のスピン注入達成のためには、Siとのショットキー障壁の低い強磁性材料が必要である。これまで、強磁性材料として強磁性金属Fel.xSi.、MnAsのシリコン基板上への作製と、結晶、磁性、電気的特性の評価をおこなってきた。電気特性は主にトランジスタ特性で評価した。結果として、Fe_<1-x>Si_xは組成x=0.25のときにDO3型のFe3Siとなることがわかった。しかしながらトランジスタ特性からショットキー障壁が非常に高いことがわかった。このショットキー障壁は組成xに大きく依存することがわかり、現在、低障壁高さを実現するための最適化をおこなっている。MnAsはMBEでの結晶成長中に、AsのSi基板への数nmのドーピングが自動的に起こり、Si伝導帯に対して0.16eVという低い障壁高さを持つことがわかった。また、トランジスタ作製後に数100度でアニールをおこなうことにより、トランジスタ特性が劇的に改善された。これはSi基板中のAs活性化率が上昇したためと考えられる。
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Research Products
(2 results)