2006 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒光パルス照射による光誘起磁束の生成および制御
Project/Area Number |
18760012
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川山 巌 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 助手 (10332264)
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Keywords | 光生成磁束 / ジョセフソン磁束フロートランジスタ / 光応答 / 光演算素子 |
Research Abstract |
本研究の目的は、超伝導ブリッジもしくはジョセフソン接合にフェムト秒レーザーを照射し、光生成磁束の発生・制御を行い、超伝導磁束量子デバイスの光インターフェイスへと展開することである。本年の研究では、5つのジョセフソン接合を並列に結合し、超伝導ループ内の磁束密度を制御するための磁束制御線を備えた、磁束フロートランジスタ(JVFT)構造を作製し、その光応答を観測した。 波長780nm、パルス幅約100fs、繰り返し周波数50MHzのチタンサファイアレーザーを光源として用い、さらに光チョッパーで1〜4kHzでチョッピングしたレーザーを、JVFTのジョセフソン接合部にのみ照射し出力電圧を測定した。その結果、レーザーのチョッピングに同期した出力電圧の変調が観測された。これは、レーザーの照射により、ジョセフソン接合が瞬間的に電圧状態に遷移したためであり、言い換えるとレーザー照射により磁束フロー状態になりフロー電圧が発生したことを意味している。出力電圧は、レーザー照射パワーが1〜6mWの範囲でほぼリニアに増加した。また、制御電流線に流れる電流を変化させ、ジョセフソン接合部の磁束密度を変化させると、それによっても出力電圧が変調することが確認された。これは、入力電流および照射する光パルスの双方で独立に出力を制御することが可能であり、これを利用したAND・OR演算などの機能を持たせることができると考えている。このような原理に基づく光入力素子に関する特許を出願した。 このように、今年度の研究において、目的である光生成磁束の制御がある程度可能であることを示し、また電流による磁束密度制御と合わせることにより、新たな光演算デバイスの可能背を示すことができた。これらの成果はすでに、学術論部3報(内2報は印刷中)および特許出願1件として公表されている。
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Research Products
(2 results)