2006 Fiscal Year Annual Research Report
大面積の微細液晶配向パターンを形成する新規なマイクロラビング処理技術の開発
Project/Area Number |
18760015
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
本間 道則 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (90325944)
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Keywords | 液晶 / 液晶分子配向 / ラビング / マイクロラビング / プレチルト / トライボロジー |
Research Abstract |
液晶のプレチルト角の制御は液晶ディスプレイの表示性能に直結する重要な課題であり,これまでラビング条件と関連付けて議論されてきた。通常のラビング処理においては微小な柔らかい繊維から成る布を用いてラビング処理を行うが,一本の繊維がどのように配向特性に影響を与えるのかについては明らかにされていない。そこで,本研究においては,一本の繊維の代わりに微小な金属球を用いて垂直配向用ポリイミド膜にマイクロラビング処理を適用し,摩擦仕事がプレチルト角に与える影響について考察を行った。本研究において得られた知見は以下の通りである。 1.金属球の直径を2mm一定とし,異なる移動速度および荷重の下でマイクロラビング処理を行ったところ,プレチルト角は摩擦仕事にのみ依存すると見なしてよいことが明らかとなった。この結果は比較的低いプレチルト角を発現するポリイミド膜に対して布ラビングを適用した場合に得られた従来の結果と矛盾しない。 2.異なる直径の金属球(1,4,8mm)を用いて同様にマイクロラビング処理を行ったところ,摩擦仕事に対するプレチルト角の依存性は異なる金属球の直径に対して一致せず,すなわち,プレチルト角は摩擦仕事と金属球の直径のという二つのパラメータに独立に依存することが明らかとなった。このことは,本質的には摩擦力は非保存力であるという事実に関係するものと考えられる。 3.摩擦仕事Wは配向膜の弾性変形に寄与する成分W_eと塑性変形に寄与する成分W_pの和(W=W_e+W_p)として表されるものと仮定し,さらにWeはプレチルト角が急激に変化するときの摩擦仕事,すなわち配向膜に塑性変形が誘起されるしきい値であると解釈した。プレチルト角とW_pの関係を求めたところ,異なる金属球の直径に対する特性がほぼ一致し,プレチルト角は塑性変形に寄与する成分W_pのみの関数であると見なしてよいことが明らかとなった。
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