2006 Fiscal Year Annual Research Report
スピンデバイス開発のためのハーフメタル強磁性体/半導体接合におけるスピン依存伝導
Project/Area Number |
18760016
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
松山 哲也 大阪府立大学, 工学研究科, 助手 (70347508)
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Keywords | スピン偏極 / スピンデバイス / 強磁性体 / 半導体接合 / スピン依存伝導 |
Research Abstract |
本研究では、半導体/強磁性体接合を作成し、界面におけるスピン依存伝導に関する研究を行い、スピンデバイス実現のために不可欠なスピン偏極電子の高効率注入、および、高効率検出の可能な半導体/強磁性体電極を作成することを目的としている。平成18年度には、スピン偏極電子の検出用電極として強磁性体/半導体接合電極を作成し、主にスピン検出特性にっいて研究を行った。 強磁性体材料としては、ハーフメタル材料を用いる前段階として、MOなど磁気記憶デバイスに用いられ、磁化方向が膜面に垂直となるGdTbFeを用いた。スパッタ法によりp型GaAs基板上にGdTbFeを薄膜成長させた試料、および、p型GaAs基板上にトンネル障壁となるAl2O3酸化膜を成長させたのち、GdTbFeを薄膜成長させた試料を作成し、トンネル障壁の効果について研究を行った。 まず、SQUID磁力計を用いて、さまざまな測定温度におけるGdTbFe薄膜の磁化曲線を測定し、垂直磁化膜の形成、および、保磁力、残留磁化など磁気特性の評価を行った。 次に、偏光子、波長板を用いて、円偏光励起によるp型GaAs基板層からの発光の円偏光度測定、時間分解測定を行い、円偏光励起によりp型GaAs基板中に生成される電子のスピン偏極度を見積もった。 オーミック電極として磁性体側にCu、半導体側にAuZnNiを蒸着し、バイアス電圧を印加した状態で、偏光子、光弾性変調器を用い、円偏光変調法による光電流測定を行い、光電流のスピン依存性について研究を行った。トンネル障壁を導入しない試料においては光電流に明確なスピン依存性を確認することができなかったが、トンネル障壁を導入した試料では、最適なバイアス電圧印加下において、明確なスピン依存性を確認することができ、トンネル障壁の導入がスピン減偏極を防ぐ方法として有効であることが確認された。
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