2006 Fiscal Year Annual Research Report
原子層エピタキシ法による酸化亜鉛薄膜成長とドーピングの空間コヒーレンス制御
Project/Area Number |
18760020
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
牧野 久雄 高知工科大学, 総合研究所, 助教授 (40302210)
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Keywords | 酸化亜鉛 / 原子層エピタキシ法 / ホモエピタキシ / オゾン / ドーピング |
Research Abstract |
本研究では、原子層エピタキシ法(ALE法)による酸化亜鉛薄膜成長の特徴を理解するとともに、ドーパントの空間分布を制御したn型酸化亜鉛薄膜を作製し、その物性を明らかにすることを目的としている。 本年度は、無添加酸化亜鉛薄膜をガラス基板、サファイア基板、酸化亜鉛単結晶基板上に成長し、成長条件の検討を行った。亜鉛原料としてジエチル亜鉛を用い、酸化剤として水とオゾンの違いを比較するとともに、成長中の光照射の効果について検討した。 ガラス基板上では、成長前の基板処理に応じて、成長初期の成長速度および薄膜配向性の変化に違いが生じた。これは、基板表面の水酸基の密度が、結晶核形成過程に影響を及ぼしたものと考えられ、成長前の基板処理の重要性を示唆している。また、酸化剤として水を用いた場合は、140〜180℃にALEウィンドウが観測されるのに対し、オゾンを用いた場合は140℃付近から基板温度の上昇とともに成長速度がゆるやかに増加し、基板温度300℃までの範囲においてALEウィンドウとなる成長速度の飽和領域は観測されない。オゾン供給時に紫外光を照射したところ、成長速度の増大が観測された。このことから、成長速度の基板温度依存性は、成長に寄与するラジカル酸素を生成するオゾンの熱分解に律速され、紫外光照射によりオゾンの分解が促進されたと理解される。 酸化亜鉛単結晶基板上のALE成長では、Zn極性面とO極性面において、表面モフォロジーに大きな違いが観測された。O極性面では、円形粒状の表面モフォロジーを示すのに対し、Zn極性面では、方向性を持った長楕円状の表面モフォロジーを示すことがわかった。それぞれの極性面では、ダングリングボンドの数が異なっており、表面拡散や表面吸着といった成長に強く影響する現象が関与していると考えられる。
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