2006 Fiscal Year Annual Research Report
有機分子・金属極低温共蒸着膜のin-situ電気伝導度測定
Project/Area Number |
18760026
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉川 元起 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (70401172)
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Keywords | 表面・界面物性 / 走査プローブ顕微鏡 / 低速電子顕微鏡 / 低温物性 / 有機無機複合薄膜 |
Research Abstract |
有機物と金属との低温基板上への共蒸着膜の示す特異な構造および電気伝導度に着目して本研究を開始した。はじめに、未だ詳細が明らかになっていない、無機基板上における有機薄膜のヘテロ界面形成初期過程を明らかにするため、低速電子顕微鏡(LEEM)を用いて、各種有機薄膜形成過程のリアルタイムその場観測を行った。この結果、有機薄膜はヘテロ界面を形成する際に、バルク単結晶構造とは大きく異なる構造を取ることが明らかになった。有機物は分子間におけるπ電子軌道の重なり度合いによって、電気伝導度が大きく変化することが知られており、有機-金属共蒸着系においても、ヘテロ界面における構造の変化が電気伝導度に大きな影響を及ぼしていることが示唆された。また、これと同時に、STMを用いて局所電気伝導度の測定を行った。STMの探針を一つの電極と見なし、探針を試料表面にわずかに接触させることで、silicon-on-insulator (SOI)基板の表面準位による電気伝導度の測定を行い、その絶対値を見積もった。これにより、表面に局在した準位によっても十分に電気伝導が行われることが明らかとなり、有機-金属共蒸着系においても、金属から移動した電荷が、有機層内でヘテロ界面付近に局在しているような場合でも、十分電気伝導が起こりうることが示唆された。これらの現象を総合的に観測可能となる、温度可変マイクロ4端子プローブ伝導度測定装置とSTMの複合システムを構築した。これにより、構造と電気伝導度の関係をより詳細に明らかにすることが期待される。また、原子間力顕微鏡の改良を行い、低温やその場観察と言った特殊条件下における原子レベルでの構造解析も試みる予定である。
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Research Products
(1 results)