2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18760027
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小倉 正平 東京大学, 生産技術研究所, 技術職員 (10396905)
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Keywords | フラクタル / 表面拡散 / 原子追跡 / 走査トンネル顕微鏡 / 金 |
Research Abstract |
本研究は、走査トンネル顕微鏡(STM)を用いた原子追跡法によりIr(111),Pt(111)表面のテラスおよびエッジにおけるAu原子の拡散係数を実験的に測定し,その実験値を用いたモンテカルロシミュレーションにより,Auの2次元島に見られるフラクタル性の起源を明らかにすることを目的としている.また薄膜の成長条件を制御することにより,フラクタル性を利用したAuの超平坦薄膜の作成を試みる.本年度は,STMを用いた原子追跡装置の開発を行った.チップ旋回用の交流電圧とトンネル電流との位相差を検出するロックインアンプ,チップ旋回用の交流電圧とチップ移動用の直流電圧を加算する電圧加算回路,チップの移動方向と移動距離の計算とチップ位置の記録を行うソフトなどからなるチップ制御系を開発した.これにより原子追跡に必要な周波数(〜100Hz),電圧精度(〜1mV)でのチップ位置の制御と記録が可能となった.またチップを旋回させるのに必要なX,Y方向への交流電圧を入力するために,現在所有しているSTM装置にX, Y電圧入力用ボードを追加した.さらに基板温度の関数として拡散係数を測定する必要があるため,Auの蒸着源をSTMステージ付近に設置し,STMステージ上で基板温度を制御しながらAuを蒸着できるようにした.原子追跡法との比較実験として,この蒸着源を用いてIr(111)表面上にAu島を作成し,島の密度の基板温度依存性からIr(111)表面のAu原子の拡散係数を求めた.平均場の核形成理論に基づいて,Ir(111)表面上におけるAu原子のテラス拡散の拡散障壁が0.08±0.01eV,前指数因子が1-8x10^<12±03>s^<-1>であることを明らかにした.
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Research Products
(2 results)