2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18760037
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤村 隆史 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (50361647)
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Keywords | フォトリフラクティブ効果 / 窒化ガリウム結晶 / フォトクロミズム |
Research Abstract |
ホログラフィックメモリーは、多重記録、並列再生により従来のビット型記録方式では木可能な大容量記憶・高速アクセスを可能にする。特にその記録媒体としてフォトリフラクティブ結晶を用いると、書き換え可能な位相型ホログラムが記録できるようになる。GaN結晶は半導体特有の大きな移動度とワイドバンドギャップ性から高い記録感度と高いメモリー性能を両立できる可能性を秘めた材料である。しかしこれまでGaN結晶はその成長の難しさから高品質な結晶を得ることが困難であり、長い間フォトリフラクティブ効果は観測されていなかった。本研究では、ごく最近入手可能となったバルクのFeドープGaN(Fe : GaN)結晶において、フォトリフラクティブ効果を発現させ、その特性を評価することを研究の目的とする。 われわれは近年、Fe添加GaN結晶に青色光を照射することでフォトクロミズム(光誘起吸収)が起こることを発見している。このフォトクロミズムは、GaNにおいて、再生時に劣化しない不揮発性ホログラムを記録できる可能性があることを示しており、大変興味深いが、このような現象は過去に報告例がなく、起源はいまだ不明ではある。そこで本年度はまず、この青色光誘起のフォトクロミズムの起源の解明を中心に研究をすすめた。 (1)フォトクロミズムの緩和時定数の温度依存性 フォトクロミズムの緩和時定数の温度依存性を調べた結果、これがFe^<3+>に起因するフォトルミネッセンスの緩和時定数とほぼ一致した。このことからフォトクロミズムの起源がFe^<3+>に起因したものであることがわかった。またいくつかの吸収ピークについて吸収の起源を同定することができた。 (2)光伝導スペクトルの測定 励起状態と初期状態との光伝導スペクトルの差を測定し、誘起された吸収が伝導に関与するものか伝導に関与しないものかどうかを調べた。その結果、420nm付近の吸収ピーク以外はほとんど伝導に関与しないという結果が得られた。
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