2006 Fiscal Year Annual Research Report
低次神経システムに学んだ視覚-運動制御機能1チップLSIの構築に関する研究
Project/Area Number |
18760046
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
大谷 真弘 奈良工業高等専門学校, 電気工学科, 講師 (10353301)
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Keywords | ビジョンチップ / オプティカルフロー / 集積回路設計 / 次神経システム / アナログ電流遅延回路 / 自律移動ロボット用センサ |
Research Abstract |
近年,実用化されてきた画像処理機能を有する撮像デバイス(ビジョンチップまたはスマートセンサ)では,画素間の並列処理を実行する演算回路部にデジタル演算回路技術を用いたものが一般的である.移動ロボットなどの実時間画像処理を要する応用には時間分解能(フレーム周波数)を如何に高めるかが重要となるため,演算回路の簡素化や出力の取出し方式の検討がさまざまな研究機関で行われている.一方、一般的な移動ロボットにはその姿勢制御や周囲の障害物を検出するために各種のセンシングデバイスが搭載されている.本研究課題ではそれらのセンシング機能を画像処理によって置き換え,ビジョンチップの機能に取り込むことによって時間分解能の高い視覚一運動制御システムを1チップLSIとして構築することを目的としている. 本年度は,これまでに考案してきたエッジ検出および局所動き検出を同一チップで可能とするビジョンチップの画素回路を基礎として,視覚対象のオプティカルフロー(速度場)を知覚するための演算ネットワークの構成を検討した.演算ネットワークは,生物の低次視覚システムに学んだアナログ電流遅延回路によって構成し,回路構成の簡素化を行った.構成した演算ネットワークに対し,チップ上をさまざまな方向に移動する微小線幅の線分を模擬した入力信号を与えたときの応答を回路シミュレータSPICEによって検証した.回路シミュレーション結果より,構築した演算ネットワークはチップ上を移動する線分の方向に対して選択的に応答することを確認できた.しかしながら,その選択性は方向に対して緩やかであり、より現実的な視覚対象のオプティカルフローを得るには十分ではないことがわかった.現在,この結果に基づき,画素回路ならびに演算ネットワークの再検討ならびに現実的な動きを模擬した入力信号を用いた回路シミュレーション,試作チップレイアウト設計の準備を進めている.
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