2008 Fiscal Year Annual Research Report
三軸回転角速度の検出を目的としたモノリシック振動ジャイロセンサに関する研究
Project/Area Number |
18760050
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
田村 英樹 Yamagata University, 大学院・理工学研究科, 助教 (90396581)
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Keywords | ジャイロセンサ / 圧電 / 3軸角速度 / 多軸ジャイロ / 水晶 / モノリシック振動子 / 超音波 / 振動デバイス |
Research Abstract |
本研究は単一の水晶振動子を用いて三軸全ての回転角速度を検出するデバイスを目指すものである。これまでに基本的な動作原理を満たす構造設計と、各成分の信号を分離処理する演算方式について一定の成果を上げている。しかしながら多重モード振動子の設計において、各モード間の振動及び信号の漏れ及び結合が存在し、設計や実用化に関して大きな障害となっている。特に多方向への振動性分を有する多重モード振動子においては、水晶のような異方性材料を用いている事から理想的にも振動結合を完全に防ぐ事は困難であるばかりでなく、加工時の異方性エッチングとその際のエッチング残渣による構造誤差も結合要因として除去しがたい。加えて本提案の多軸ジャイロでは4つ程度の共振モードを縮退させる為それぞれのモード間の結合は非常に複雑な関係となる。 このように複雑な振動子は現在の所、有限要素法解析を用いて数値的に設計・検討を行うほか無いが、実際の駆動シミュレーションに相当する周波数応答解析はかなりの計算機リソースを要する。ここで細部寸法や温度条件などの幾多の条件でパラメータ解析を行うのは時間的に実用的でなく、また傾向評価を数値的に表す事が出来ていなかった。 そこで本年度の主な取り組みは、有限要素法による構造解析のうち比較的計算処理負荷が軽く短時間で計算結果の得られる固有値解析から得られる情報からモード間結合の強度を見積もる事を目指した。この過程で、固有値解析によって得られる主振動振幅と漏れ振動振幅の比は、周波数応答解析によって得られる実際に近い振幅比と異なり、安易な評価の危険性が確認された。しかしながら入出力電気端子の開放・短絡による、これは1端子対圧電振動子では共振・反共振評価を行うような方法に着目し、端子条件の違いによる固有値周波数の関係を調査したところ、有用な情報が得られる事が見いだされた。すなわち、一般的なジャイロ振動子は初期状態では駆動モードと検出モードは本来直交分離している事から、非駆動端子の電気条件を変えたとしても駆動端子ではその影響を受けないのが理想的であるが、モード間に結合がある場合にはその程度によって電気端子条件の違い、短絡-開放、が固有周波数の違いとして伺う事が出来る。
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Research Products
(2 results)