2006 Fiscal Year Annual Research Report
音波エンジンにおける音響流の可視化とその制御方法の確立
Project/Area Number |
18760052
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
琵琶 哲志 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50314034)
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Keywords | 熱工学 / 流体 / 可視化 / 熱音響工学 / 音響流 |
Research Abstract |
熱と音波の間のエネルギー変換現象である熱音響現象を利用すると,熱から音波を発生する音波エンジンや音波により冷凍を実行する音波クーラーが可能になる.これら熱音響機器は既存の熱機関と比較すると効率が低いが,これは熱音響エネルギー変換に本質的な問題があるわけではなく,進行波音波に伴って生じる定常的質量流(音響流)が引き起こす熱的損失が問題であると考えられている.しかし,直接的な観測に基づく音響流の定量的評価は未だに行われていない. 熱音響機器の性能向上を目標として,音響流の計測を通じてその制御方法を提案することを目的に実験的研究を遂行している.今年度はループ状の進行波音波エンジンを作成し,その内部に発生する音響パワーを計測し,音響流流速の計測結果と比較した.また音響流を制御する目的で,管軸方向に非対称な構造を持つ絞り(ジェットポンプ)を挿入し同様の実験を行った. 装置は内径40mmのガラス管と銅製のエルボーを用いて自作した.音圧は小型の圧力トランスデューサー,流速はレーザードップラー流速計により計測した.なお,圧力と流速は精度よく同時計測した.装置内部の可視化は1mm程度の厚みのシート状のレーザー光を用いて行った.100Wの熱入力の下で発生する自励発振音波に対して実験を行ったところ,ジェッットポンプの向きによって音響流はその大きさと向きが変化することが分かった.音響流により運び去られる熱損失の大きさを見積もったところ,100Wの熱入力に対して,ジェットポンプの向きによって35Wから6.5Wへと変化することが分かった.音響流は進行波音波エンジンの効率を容易に左右し得ると結論できる.
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Research Products
(1 results)