2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18760054
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
人見 啓太朗 東北工業大学, 工学部, 助手 (60382660)
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Keywords | ガンマ線検出器 / 位置検出器 / ピクセル型検出器 / 化合物半導体 / 臭化タリウム / ワイドギャップ半導体 |
Research Abstract |
三次元位置検出型臭化タリウム放射線検出器を開発するために、臭化タリウム(T1Br)結晶の育成を行った。公称純度99.99%のT1Br粉末を素材として用いた。素材を石英管中に臭化水素ガスとともに封入した。帯域精製法を用いて帯溶融を300回繰り返し素材の純化を行った。純化後、帯溶融法を用いてT1Br結晶の育成を行った。育成した結晶を評価するために、電子の移動度・寿命時間積を測定した。育成した結晶の電子の移動度・寿命時間積は約1×10^3 cm^2/Vと大変高い値であった。このことから、育成した結晶が高い結晶性を有していることが分かった。ピクセル型検出器を製作するために、育成した結晶をワイヤーソーにより切り出した。結晶の両表面を研磨機により研磨した。金電極を真空蒸着法により形成し、ピクセル電極4つ及びガードリングを有するT1Br検出器を製作した。検出器の厚さは約4mm、ピクセル電極のサイズは1mm×1mmであった。製作した検出器に^^<137>Csからのガンマ線を照射し、スペクトル応答特性の測定を行った。検出器のカソードに1000Vのバイアス電圧を印加し、室温で動作させた。検出器からは662keVのガンマ線ピークが明確に得られた。また、検出器は高いピーク対コンプトン比を示した。検出器上の4つのピクセルとも良好に動作した。最もよく動作したピクセルの662keVのピークのエネルギー分解能は約2%であった。4mm厚のT1Br検出器としては世界最高のエネルギー分解能を得ることができた。製作したT1Br検出器は、検出効率及び分解能で市販されているテルル化カドミウム検出器を凌駕する性能を示した。
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