2006 Fiscal Year Annual Research Report
流動配向スペクトロスコピー法の開発と生体系分子集合体の動的物性研究
Project/Area Number |
18760055
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
新井 真妃子 (細田 真妃子) 東京電機大学, フロンティア共同研究センター, 助手 (40366406)
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Keywords | 流動配向 / 流動複屈折 / 配向 / スペクトロスコピー |
Research Abstract |
流動場による分子あるいは分子集合体の配向・変形のダイナミクスを調べる手法として振動場流動複屈折法が有力である。申請者は液体表面を伝播する表面張力波により励起される分子配向を観察することで、バルク中の流動複屈折現象を10〜1kHzの周波数帯域で測定する手法を開発した。今回さらに広帯域の測定を目指して四重極流動場による流動複屈折観察法を開発した。 本装置では四つのピエゾアクチュエータによって流体のずり流れを誘起する。対向する二つの湧き出しと吸い込みの組による流動場を考え、これがある周波数ωで周期的に変化することで振動流動場が誘起される。流動場と分子配向場の間にカップリングが存在するとき、この測定法は流体の非圧縮性が保障される範囲で回転粘性・緩和時間・配向とずり流動場の結合を表す輸送定数などから構成されるオーダーパラメータの値を反映する。 実験は誘起した複屈折をレーザーの偏光解析で測定した。わずかに楕円偏光したレーザー光を試料に入射し、印加する信号と同期した成分をロック印検出する。 装置の性能評価は、液晶6CBの等方相において測定を行うことで確認した。液晶等方相における分子配向時間は相転移点近傍でも数100kHz以上で、今回の装置による測定周波数よりはるかに高い。このためこの領域では振動流動場によって誘起される配向あるいは測定される複屈折量は近似的にその振動周波数に比例する。測定はこれをよく反映した結果を示した。これにより100〜103Hzにおける流動複屈折測定が可能になった。 次年度は本測定システムにより界面活性剤のミセルの配向緩和現象を調べる予定である。ミセルは添加塩の量により棒状・ひも状など形態を変化させることが知られている。それらの状態における複屈折の測定を行い、分子集合体の共同運動の動的物性を観測する予定である。
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