2007 Fiscal Year Annual Research Report
流動配向スペクトロスコピー法の開発と生体系分子集合体の動的物性研究
Project/Area Number |
18760055
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
新井 真妃子 (細田 真妃子) Tokyo Denki University, 理工学部, 講師 (40366406)
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Keywords | 流動配向 / 流動複屈折 / 配向 / スペクトロスコピー |
Research Abstract |
流動場による分子あるいは分子集合体の配向・変形のダイナミクスを調べる手法として振動場流動複屈折法が有力である。我々はHz〜kHz域での測定が可能な四重極流動複屈折法を開発し、ひも状ミセルの配向緩和現象を観察した。ある種の界面活性剤分子は水溶液中で球状のミセルを形成するが、この水溶液中に塩を添加すると形状が球から棒一ひも状、と変化する。この形状は塩と界面活性剤分子の濃度比に依存する。今回はひもミセルを形成する典型的な界面活性剤について複屈折現象のスペクトル測定を行なった。試料はCTAB(セチトリメチルアンモニウム臭化物)にサリチル酸ナトリウムをモル比0.6で添加した水溶液を用いた。測定結果より、周波数の増加に伴って複屈折量が減少する緩和現象が観察された。従来の方法では球状ミセルにおいて複屈折は観察されないとされてきたが、今回の結果では球状ミセルの状態と言われている50℃においても弱いながら緩和スペクトルが現れていることが分かった。緩和メカニズムとしては、溶液中のひも状高分子のコンフォメーションが考えられるが、この結果がひもミセルの残存によるものか、あるいは球ミセルの変形によるものかは現在のところ不明であり今後さらに詳細な検討が必要である。今後は温度・添加塩濃度を挿引して、ミセル形状を変化させることにより緩和のメカニズムを調べる予定である。さらに、この測定法を用いて高分子電解水溶液における流動複屈折を観察した。試料はポリスチレンスルホン酸ナトリウム(分子量50万)である。この試料に塩を添加すると複屈折率が減少することが確認された。これはイオンの存在により分子同士の共同運動が阻害されるためと考えられ、超音波複屈折の結果とよく一致することが確かめられた。
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