2006 Fiscal Year Annual Research Report
球殻状ナノ磁性体のスピン構造制御とスイッチング素子への応用
Project/Area Number |
18760059
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
島 弘幸 北海道大学, 大学院工学研究科, 助手 (40312392)
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Keywords | ナノ磁性体 / 磁気デバイス / ナノ構造体 |
Research Abstract |
電子の内部自由度(スピン・電荷・軌道)を複合的に活用した新しいエレクトロニクスの構築は、次世代の高度情報化社会を支える中核技術として極めてニーズの強い研究課題である。本研究の目的は、「中空球殻構造」を有するナノ磁性体のスピン構造を解析し、その特異な磁気特性を利用した新規なスイッチング・デバイス素子をデザインすることにある。 本研究の最大の特色は、通常の平面上の磁性体とは異なる、有限の幾何学的曲率をもつナノ磁性体を扱う点にある。ナノ磁性体の多くは、構造全体に広がった軌道を占める電子スピンを利用するため、そのナノ構造の幾何学的形状の変化が系全体の磁性に大きく関与すると予想される。この幾何特性と磁気特性との関連を理論的に調べるため、申請者は様々な曲面構造に配置された磁性薄膜を模したスピン格子模型を考案し、その基本磁気特性が形状の変化によってどのような変化を受けるかを数値的に考察した。この研究遂行により、系の幾何学的曲率が系の自発磁化発現機構・磁気応答特性に与える効果に対する定性的理解を得ることができた。これと並行して本研究課題では、二次元電子系のバリスティック伝導特性について、二次元ナノ構造体の形状変化がその伝導特性に与える影響を研究した。その結果、ナノ構造体の局所的な構造変形は伝導電子に対する有効引力ポテンシャルとして機能すること、および、変形部分の幾何学的曲率を恣意的に調節することにより上記の引力ポテンシャルを斥力ポテンシャルに変換できることがわかった。上記二つの研究成果は、球殻状ナノ磁性体の新規な物理特性に基づくスイッチング素子を開発するための重要な基礎的知見を与えるものである。
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Research Products
(11 results)