2007 Fiscal Year Annual Research Report
定常化操作による非定常不規則雑音に埋もれた信号検出の基礎研究
Project/Area Number |
18760064
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
井嶋 博 Wakayama University, 教育学部, 講師 (90397604)
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Keywords | 信号検出 / 非定常雑音 / 確率過程 / 時変スペクトル / カルマンフィルタ / 時変ARMAモデル |
Research Abstract |
平成18年度に提案した非定常雑音に埋もれた信号の検出手法では,非定常雑音を1階の確率微分方程式でモデル化できるものとし,そのモデルパラメータをPriestlyが提案している時変スペクトル理論を用いて推定することによって,非定常観測データを定常なデータに変換する手法を提案し,これを「観測データの定常化(Stationarization of Observation Data)」と名づけた.本年度はこの定常化手法をより一般的な雑音に適用させるため,非定常雑音モデルを時変パラメータを持つARMAモデルとし,そのパラメータをカルマンフィルタにより推定する手法を開発した.この推定手法を導出するに当たってはARMAモデルの時変パラメータを状態量として状態ベクトルを定義して状態方程式を構成した.しかし,この方程式およびARMAモデルから導出される観測方程式には実際には観測できないARMAモデルの誤差項が含まれるため,本申請者はこの誤差項に代わってカルマンフィルタのイノベーション過程を用い,これを新しい観測方程式として状態空間表現を構成した.さらに,この誤差項とイノベーション過程の統計的性質が一致していることを証明している.このような定常化手法によって得られる新しい観測データは変換された信号と定常雑音の和で表現できることから,従来の定常雑音に埋もれた信号の検出問題に帰着できるが,本研究ではさらに信号検出器として定常化操作により信号の存在する時刻近傍では定常性が乱されるであろうと仮定し,定常性の検定を用いた手法を新たに提案し,シミュレーションによりその有効性を確認している.これらの成果は国際会議論文に掲載済みであり,平成20年度に開催される講演会での発表を予定している.
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Research Products
(2 results)