2006 Fiscal Year Annual Research Report
自己接触を伴う薄膜折りたたみ展開構造物のボディダイナミクスシミュレーション
Project/Area Number |
18760068
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
寺島 洋史 独立行政法人理化学研究所, 機能情報シミュレーションチーム, 客員研究員 (20415235)
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Keywords | 流体構造連成問題 / 数値流体力学 / 直交格子解析 / 大変形薄膜展開構造 / 自己接触 |
Research Abstract |
本研究は,AirbagやParachuteといった流体と干渉する薄膜展開構造物のダイナミクスシミュレーションを行う数値手法の開発と設計への応用を目的とする.流体解析には,大変形薄膜物体を容易かつロバストに扱うため直交格子を用い,構造解析には幾何学的非線形性を考慮した有限要素法を採用した. 今年度は,直交格子を用いた流体解析手法の開発と,流体と移動剛体が連成した流体剛体連成解析手法を開発し,その信頼性を評価した.本手法は以下の特長を持つ: 1)距離関数場(Signed Distance Filed : SDF)を使用 2)プログラムの修正は境界条件部分のみで,オリジナルソルバーからの修正が非常に容易 3)鏡面境界条件で見られる境界付近の物理量内挿処理とそれに伴う点探索処理が無い 4)SDF情報の変化がダイレクトに物体移動の情報を表し,流体構造連成問題を合理的に扱える 特に3)は移動変形物体を扱う際に有利な点である. 直交格子の解析でしばしば問題となるのが計算結果の信頼性である.信頼性を検証するため,基本的な流れ場(円柱,球,振動円柱)のシミュレーションを行い,実験や他の計算と比較を行った.固定円柱と球の計算結果から,レイノルズ数500までではあるが,他の結果と良い一致を得た.また,格子解像度の影響を調べ,予想される境界層厚さに10点程度の格子点を配置することにより,信頼性ある解が得られることを示した.これは今後の解析における格子解像度選択の指標となる.振動円柱の解析では,SDFの変化をベースとした本手法が移動物体のシミュレーションに対して有効であることを示し,また,固定円柱の流れ場に比べ,力の振幅や位相を正確に求める上で格子解像度が重要であることを明らかにした.また,粗い格子を用いると,力の時間履歴に虚偽振動が発生することがわかった.この原因は今後の課題である.
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Research Products
(1 results)