2006 Fiscal Year Annual Research Report
X線回折を利用した生体骨のマルチスケール力学応答解析とリモデリングモデルへの応用
Project/Area Number |
18760069
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
東藤 正浩 北海道大学, 大学院工学研究科, 助教授 (10314402)
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Keywords | 生物・生体工学 / 機械材料・材料力学 / 生体材料 / 放射線,X線,粒子線 / 生体機能利用 / 骨組織 / 階層構造 / アパタイト |
Research Abstract |
本研究では,X線回折を利用した生体骨の微視構造解析と,マクロスケールにおける生体骨の構造・力学特性を組み合わせたマルチスケール複合構造の力学挙動解析手法を提案し,得られた生体骨のマルチスケール複合則を考慮したリモデリングシミュレーションへの応用を目的とする.平成18年度では,以下の研究成果が得られた. 1.骨の力学的特性におけるコラーゲン-ミネラル成分の影響 骨は微視的には無機基質であるハイドロキシアパタイトと有機基質のコラーゲンからなる複合構造であり,これらの構造および力学特性が骨の巨視的な力学特性を決定する要素となっている.高齢化による骨劣化の原因には,骨密度の低下や,骨中の有機基質の変性が考えられている.本研究では,脱灰処理や熱処理により無機および有機成分比を変化させた骨試料を作製し,力学試験により,構造特性が力学特性に与える影響について評価した.その結果,主に,有機基質は破壊強度に,無機基質は弾性特性に寄与していることが確認できた. 2.X線回折イメージによる骨組織の残留ひずみ測定 生体内の骨組織は,他の生体組織と同様に,その力学的環境に適応し,その構造と形状を再構築する性質をもつ.そのため,その組織内部には不静定構造に起因する残留応力の存在が考えられる.本研究では,脊椎孔構造周辺部における微視的な構造最適性に着目し,X線回折による残留ひずみ測定を行った.その結果,孔構造周辺に残留ひずみ分布が確認され,骨組織の最適構造性の実験的な検証方法としての可能性を示すことができた.
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