2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ複合DLC表面改質による炭素繊維強化プラスチックの高機能発現
Project/Area Number |
18760074
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
中村 雅史 茨城大学, 工学部, 講師 (60302329)
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Keywords | 表面改質 / DLC / 炭素繊維強化プラスチック / 機械材料・材料力学 / 構造・機能材料 / トライボロジー |
Research Abstract |
本研究では、次世代ナノコーティングによって格段に優れた耐摩耗性、潤滑特性をもつ高機能化CFRPを開発する。すなわち、皮膜のナノ・ミクロ構造を最適に制御してCFRPに適用できる「やわらかいDLC皮膜」を開発し、CFRPの耐摩耗性と靱性をともに飛躍的に改善する。特に、皮膜の密着性の改善と皮膜の割れの防止に焦点を当てる。本年度は表面耐摩耗化のナノコーティングによる材料創製を行うことを目的に研究を実施した。得られた結果は以下の通りである、 [1]DLCナノコーティングによるやわらかいDLC被服CFRP材料の創製 まず、低温度でDLC皮膜と成膜できるUBMS装置によって炭素繊維強化PEEK樹脂を基材としてDLCのナノコーティングを実施した。その結果、基材自体が大きくたわみ皮膜を適切に創製することが出来なかった。これは、製膜温度の影響やスパッタ粒子の衝突による基材表面の局所的温度上昇によるものと思われる。そのため、製膜条件および基材とDLC皮膜との中間層の皮膜を再度検討すべきであるとの結果を得た。 [2]DLCナノコーティングの密着性の改善の検討 次に、上記の結果に基づいて中間層について検討した。樹脂材料に硬い皮膜を施すには密着性の改善が必要であり、皮膜と基材の硬度差を減少させる中間層、さらにはスパッタ粒子の衝突による基材表面の局所的温度上昇を防止する中間層としてメッキ技術に着目した。硬質なCrメッキとNiメッキを選定しPEEK樹脂基材上に施しメッキの密着性等を評価した。来年度はメッキ上にDLC皮膜を製膜し、さらにこの上に微粒子衝突処理などを施すことなどで密着性を向上させる複合コーティングを実施する。 [3]文献調査および外部研究調査によるUBMS以外の装置によるDLCナノコーティングの検討 文献や外部研究などを調査することにより、「やわらかい皮膜」を創製するために、UBMS法以外の方法でのDLC皮膜創製方法の検討を行った。特にIFスパッタ装置やCVDによる製膜を検討し、来年度はこれら装置による製膜を実施する。
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