2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18760083
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平方 寛之 京都大学, 工学研究科, 助手 (40362454)
|
Keywords | ナノ構造 / ナノスプリング / 変形特性 / 材料強度 / 材料試験法 |
Research Abstract |
寸法がナノメートルオーダーの構造を有する材料(ナノ構造体)は、バルクとは異なる物性を示す。また、動的斜め蒸着法を用いれば、基板の面内方位の制御によって螺旋やジグザグなどの特徴的な3次元構造を有するナノスプリングを成長させることが可能である。このようなナノ構造体を要素として様々な機能を有する微小電気機械デバイスを創造することが期待されているが、そのためにはナノ構造体の変形の力学についての基本的な理解が不可欠である。とりわけナノスプリングは、その構造に起因して力学特性が異方性を示す。しかし、ナノオーダーの構造体に対する実験観察の困難さから、ナノスプリングの変形特性についてはほとんど解明されていない。本研究の目的は、ナノスプリングの変形特性を評価するための実験手法を確立するとともに、その変形の力学を明らかにすることである。とくに、特徴的なナノ構造と変形異方性の相関性について検討する。 本年度は、シリコン基板上に動的斜め蒸着法を用いて酸化タンタルのナノスプリング集合薄膜を作製し、その変形特性を評価した。試験片の加工には、集束イオンビームを用いた。電界放射型電子顕微鏡によりスプリングの形状・構造を特定した後、原子間力顕微鏡に組み込んだ力学試験装置によって、ナノスプリング薄膜の横方向および縦方向変形試験を実施した。本試験により、(1)ナノスプリング薄膜は,同材料のバルク・薄膜に比べて2〜3オーダー低い剛性を有すること、(2)通常の材料では実現できない大きな変形異方性(縦方向に比べて横方向に変形しやすい)を有すること、(3)変形異方性は、構成要素であるナノスプリングの構造に依存すること,を明らかにした。これらの成果は,国際誌に投稿・掲載された。
|