2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18760086
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
本村 文孝 長崎大学, 工学部, 助手 (40274625)
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Keywords | レーザスクライブ / 有限要素法 / 光干渉法 / ディジタル画像処理 / 破壊靱性値 / 応力拡大係数 / 熱応力割断 / ミスト冷却 |
Research Abstract |
板厚1mm以下の液晶基板ガラス(ソーダガラス)に対して,表面き裂を効率的に創成するための割断条件を検討した.表面き裂の創成方法として,炭酸ガスレーザによる局所加熱とミストクーリングによる局所冷却を併用する.加熱後のガラス表面をミストにより冷却すると,冷却源近傍には板厚方向へ急峻な引張応力が発生するので,表面き裂創成が可能となる.深さ一定の表面き裂を連続的に発生させるためには,一定距離にある加熱源(先行)と冷却源(後方)を割断したい方向に移動させればよい.本研究では,表面き裂の創成の際に,特に重要となる冷却効果の簡便な定量評価方法を提案し,有限要素法を用いた表面き裂創成に必要な割断条件の検討をおこなった.ミストクーリングによって生じる熱流束を対流熱伝達係数として求めるために,冷却実験より得られた非冷却面温度の経時変化を赤外線温度検出器によって計測し,逆解析により,冷却面における対流熱伝達係数を評価した.板厚方向に貫通したき裂の安定き裂進展中の応力拡大係数はき裂前縁にてほぼ一定となることが分かっているので,表面き裂に対しても適用した.冷却実験による熱流束を取込んだ有限要素プログラムにおいて,任意形状をした表面き裂に対する応力拡大係数を評価することで,表面き裂として存在できるき裂先端位置があること,最大の応力拡大係数を得るための冷却源と加熱源の相対距離が存在すること,また同一面からの加熱・冷却においては,移動速度によって創成できる表面き裂の深さに限界があることがわかった.総じて,き裂挿引方向に細長い形状をした加熱源と,噴射面積の小さなミストの境界が接するように配置することで,最深の表面き裂を得ることができると言える.
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