2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18760087
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
小林 訓史 首都大学東京, 大学院理工学研究科, 准教授 (80326016)
|
Keywords | 生体吸収性プラスチック / ポリL乳酸 / 擬似生体環境 / 結晶化度 / 生体吸収性複合材料 / クリープ試験 / 損傷力学 / マイクロメカニックス |
Research Abstract |
生体吸収性プラスチックスであるポリ乳酸と生体活性セラミックスであるリン酸三カルシウムを対象とし,重量含有率として15wt%のリン酸三カルシウムを含有する複合材料の作製に成功した.得られた複合材料に引張・圧縮・曲げ試験を行ない,力学的特性に及ぼす含有率の影響を明らかにした.引張負荷下における応力-ひずみ挙動を予測するためにマイクロメカニックスと損傷力学を融合したマイクロダメージメカニックスを提案し,負荷に伴うリン酸三カルシウム/ポリ乳酸界面のはく離ははく離粒子をボイドで置き換えることで力学的挙動を予測しうることを明らかにした.また,引張及び圧縮応力-ひずみ線図が既知の場合,中立面の移動を考慮することにより,曲げ負荷応力-ひずみ挙動を予測可能であることが明らかとなった. さらに,生体環境下における分解を模するため,人体のpHと等しいpH7.4およびpH6.4のリン酸緩衝液を用いてin vitro実験を行なった.最長で24週の浸漬を行い,浸漬後の試験片に対して引張・曲げ・圧縮試験を行なった.試験結果より,in vitro試験を行なう前の試験片はリン酸三カルシウムの含有率の増加に従い弾性率が増加するが,特にpH6.4のin vitro後の試験片においては含有率の増加に従い弾性率が低下していることが明らかとなった.すなわち,分解過程においてはポリ乳酸よりもリン酸三カルシウムの方が分解が速いことが示唆され,これは生体内における分解と酷似していることから,pH6.4のリン酸緩衝液による試験は,生体環境を模擬した加速試験として有効であることが明らかとなった.
|