2006 Fiscal Year Annual Research Report
膜面に生じるkinkingの構造特性に関する基礎研究
Project/Area Number |
18760088
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中篠 恭一 東海大学, 工学部, 講師 (60408028)
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Keywords | 有限要素法 / 膜構造物 / 張力場 |
Research Abstract |
膜面は非常に柔軟な構造要素であり、トラス構造やシェル構造に代表される剛構造には見られない、いくつかの特徴的な構造応答がある。そのひとつは、リンクル(しわ)の発生であり、近年有限要素法を用いたリンクル解析に関して多くの研究報告が寄せられている。リンクルの他、膜面に特徴的なもうひとつ興味深い構造応答として、kinking(深い折目)の発生がある。 現在のところ、膜面のリンクルに関する研究が、近年多数報告されているのに対し、kinkingを扱った研究は行われていない。その理由は主に有限要素解析時における数値不安定性に起因していると考えられるが、本研究は発生機構が殆ど研究されていないkinkingについて、有限要素法の立場から解明を試みるものである。 当初の研究実施計画に従い、本研究の初年度となる平成18年度は、kinkingの発生にほぼ不可避的に付随すると考えられる膜面の接触現象を中心に研究を進めた。具体的にはLagrange未定乗数法に基づく接触アルゴリズムを既開発計算コードに組み込んで膜構造物の非線形有限要素解析を行い、解析の安定性について検証を行った。本研究では数値安定性を確保するために膜面の数理モデルとして特殊な有限要素を用いているが、本年度の数値実験の結果から接触問題においても計算の安定性が損なわれないことが明らかとなった。しかしながら数値安定性に関しては、今後さらに広範な解析事例を取り扱って検証する必要があると考える。 現在、自己接触をも含めた接触問題を扱うために計算コードを修正中であり、物理実験と数値解析結果との比較・検討を通じて数値安定性のみならず、解の精度およびその物理的妥当性に関しても検証を行い、次年度の計画であるメッシュ依存性の問題に着手する予定である。
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