2008 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンブラック添加によるPTFEの耐摩擦性向上に関する研究
Project/Area Number |
18760111
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
竹市 嘉紀 Toyohashi University of Technology, 工学部, 講師 (40293758)
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Keywords | PTFE / カーボンブラック / モルフォロジー / 摩耗メカニズム / 平均粒子径 / 窒素吸着比表面積 / DBP吸収量 / 相手攻撃性 |
Research Abstract |
高分子系しゅう動材料の代表格であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に, カーボンブラックを添加したPTFE複合材料の摩耗メカニズムを調べ, カーボンブラックのモルフォロジーがPTFE複合材料の耐摩耗性に大きく影響することを明らかにした. また, カーボンブラックのアグリゲートがPTFEの繊維あるいは分子鎖と絡み合いやすい形状をしているほど, 耐摩耗性が向上し摩擦係数が上昇するというメカニズムを提唱した. 市販されている一般的な耐摩耗グレードのPTFE複合材料には, フィラーとして炭素繊維, ガラス繊維, 層状固体潤滑剤, 金属微粉末などが添加されており, 広く使用されている. しかし, いずれの材料も硬質なフィラーを添加しているため, 複合材料自体の耐摩耗性は向上できるが, 相手材料の表面を損傷してしまう, いわゆる相手攻撃性が多かれ少なかれ発現される. 相手攻撃性とフィラーサイズとの関係が重要になるが, これらを系統的に調べた報告が見られない. そこで, 長さおよび直径の異なる炭素繊維をフィラーに用い, 比較的軟質なアルミニウム合金を相手材料に選定し, PTFE複合材料による相手攻撃性を調べた. その結果, PTFE母材中で炭素繊維フィラーが保持される面積と相手攻撃性との間に相関が見られること, および「有効長さ」が存在し, 繊維直径に対してある比率の長さ以上の炭素繊維では, 繊維長が相手攻撃性に影響を及ぼさなくなることを明らかにした. これらの結果とカーボンブラックをフィラーに用いた場合とを比較すると, カーボンブラックフィラーでは耐摩耗性の向上を図りつつも相手攻撃性を低く抑えることが可能であり, PTFE複合材料のフィラーとして大変効果的であることが明らかとなった.
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