Research Abstract |
1 液体金属槽内の熱対流ならびに回転流れ計測 熱対流に関する研究では,これまでにロール状の対流運動が存在し,周期的な運動をすることを示していた.本研究では,ロールの軸方向に超音波トランスデューサを2本配置した,瞬時速度分布の同期計測を行い,それらの運動がロール軸方向に位相差を持つ3次元構造を明らかにした.このような周期的な運動は,Busseらが安定性解析により示した周期的な運動とよく似ており,理論と実験結果の一致が初めて確認できた.また,流速分布計測とともに行った,サーミスタを用いた温度変動の計測から,ロールの周期的な運動と一致する時間変動が得られた.それらの変動を周波数解析した結果,レイリー数が10^4付近で変動が不明瞭となり,明確な周期的変動が検出できなくなること,およびそれよりも大きなレイリー数では,変動周期がレイリー数の0.38乗に比例して増加することを示した. 回転流れにおける計測に関しては,これまでに開発を続けてきた超音波による流速ベクトル分布測定法を,低融点液体金属であるガリンスタンの回転流れ(回転磁場により駆動)に適用し,その実用性を確認した.また,ステッピングモータと真鍮製の円筒容器を用いて,液体金属回転流れのための実験装置を製作した. 2 水銀・磁性粉末混合体の流れ計測 非平衡現象研究所(マルセイユ,フランス)において,磁場を加えた場合の液体金属の挙動に関する実験研究を行った.水銀に磁性体の粉を添加した,液体金属ベースの磁性流体を用いて,回転円筒内で剛体回転する流れ,および剛体回転に至るまでの過渡的な流れの計測を行った.ヘルムホルツコイルにより一様な磁場を磁性流体に加え,流れ場の変化を計測した.得られた流れ場の過渡的変化からスピンアップタイムを算出し,磁場を加えた場合の液体金属磁性流体における,実効的な動粘性係数を算出した.また,一様磁場と直交する磁場の変動をガウスメータにより計測し,剛体回転時に到達する最大磁場強度の回転数に対する変化から,液体金属磁性流体の透磁率を求めた.
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