2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18760124
|
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 高啓 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教 (00345951)
|
Keywords | 接触線 / 濡れ / 界面 / 分子動力学 / 粒子画像流速測定法 |
Research Abstract |
本年度は分子動力学を用いた手法により,表面近傍の流体の結晶化による接触線挙動への影響を解析するとともに,粒子画像流速測定法(PIV)を用いた実験により,濡れ性の異なるいくつかの固体材料-液体の組み合わせによる接触線付近の流れ場の定量的な測定を行った. これまでに,壁面粒子密度と流体の粒子密度の比が1に近い時には壁面近傍の流体が壁面の原子構造と同じ構造をとり,結晶化が起こることがわかっている.ここではそのような結晶化が起こっている場合とそうでない場合について分子動力学手法を用いた解析を行った.その結果,結晶化が起こっている場合にはそうでない場合に比べて,接触角の速度に対する変化が急激となることがわかった.これは壁面-流体間のすべりによって発生する応力の速度依存性の違いが主要因であることが見出された.また,接触角の速度に対する依存性は壁面の結晶構造の向きにはほとんど影響を受けないことも明らかとなった. PIVを用いた実験では流体に水もしくはシリコンオイルを,固体にはガラス,ステンレスなどを用い,接触線近傍(<1ミリメートル)の流れ場を測定した.また,得られた流れ場について,線形化された理論モデルと比較を行った.その結果,接触線近傍界面の表面流速の接触角依存性については解析モデルと実験結果との間に大きな差異が見られた.しかし,解析モデルに対し,表面流速として実験で得られた値を代入したところ,内部の流れは非常によく一致することがわかった.そこで,この表面流速のずれに対して検討を行ったところ,界面の汚染によるマランゴニ効果が最も可能性の高いものと考えられた.実際,測定されたデータから求められた表面でのせん断応力と,予想される表面張力の揺らぎによるマランゴニ効果による応力とを比べると,同程度のオーダーであった.
|
Research Products
(2 results)