2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18760130
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
田川 俊夫 首都大学東京, システムデザイン研究科, 准教授 (90294983)
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Keywords | 磁場 / 自由表面 / 界面張力 / 数値シミュレーション / 二相流 |
Research Abstract |
磁場下における二相流や自由液面流れというのは、鉄鋼業や原子力工業に関連して実際に見られる現象であり、その基本的な流動メカニズムの定量的な把握が急務とされている.対象となる液相の流体は主として液体金属であり、常圧の空気と接する場合には大きな密度比になる。気液二相流の数値解析の難しさは、この密度比に因るところが大きく、また気相・液相の各々の質量バランス保持しながら時間発展させて解析することは困難であることが多い。さらに、気液界面に働く張力を考慮する必要があり、また磁場印加に起因する電磁力や磁化力が流体自身に作用するので、さらなる複雑さを伴う。本研究では、これまで研究代表者が行なってきた磁場下における液体金属の自然対流コードを発展させ、数値解析により定量的な検討を行なった。解析コードの妥当性を検証するために、ベンチマーク問題となっている2次元水柱の崩壊のシミュレーションを行ない、過去の文献にある実測値や計算値と定量的な一致を確認した。その後、無重力場における振動液滴・磁場下における3次元ダムブレークや液体金属中を上昇する単一気泡のシミュレーションを行なった。これらの結果については、国内の学会(流体力学会2006等)で発表済みであり、またISIJ Internationalへの掲載も決まっている。次ページに研究発表の2件目には、水中を上昇する空気の気泡に対する磁化力効果について触れている。通常、水や空気は磁場とは無関係に思われるが、強い勾配磁場下においては、流体の磁化率に応じた磁化力が流体に働く。そのような効果を考慮してシミュレーションした結果、約1.7Tの磁場中において、気泡は磁場を発生させるコイル付近でかなり変形をし、そして上昇速度も影響を受けることが判明した。今後は、界面張力のモデル化の高精度化を目指しながら、磁石を用いた実験も行ない、解析と実験の比較も行なう予定である。
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